凍結胚の体外受精で妊娠高血圧腎症リスクが高まる理由

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HealthDay News

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 凍結胚を使った体外受精(IVF)が成功した女性は、妊娠合併症の一つで高血圧に蛋白尿を伴う妊娠高血圧腎症(preeclampsia)を来すリスクが高いことが、最近の研究で示されている。今回、米フロリダ大学の研究グループがその原因を突き止めることに成功した。研究グループの一人で同大学のKirk Conrad氏は「凍結胚のIVF後には黄体が形成されないことが原因である可能性が高いと考えている」と述べている。詳細は「Hypertension」1月14日オンライン版に掲載された。

 黄体とは、排卵後に卵巣に形成される細胞の塊を指す。黄体からは、妊娠を維持し、身体が妊娠に適応できるように働く、さまざまなホルモンが分泌される。一方、凍結胚移植は、一般的にホルモン剤を用いて子宮内膜の環境を整える「ホルモン補充周期」で行われる。排卵を抑制するこの方法では黄体が形成されない。Conrad氏は「このような状態を避けるには、黄体の形成が阻害されない排卵誘発剤を使用した自然周期で凍結胚移植を行う方法が考えられる」と説明する。

 Conrad氏らによる研究では、凍結胚を移植した女性の妊娠高血圧腎症の発症率は、黄体の形成を伴う排卵誘発剤を使用した自然周期で実施した場合は3.9%だったのに対して、黄体の形成を伴わないホルモン補充周期で実施した場合には12.8%に達したことが分かった。

 黄体が形成されない女性では、妊娠中に黄体から分泌されるホルモンの一つである「リラキシン」が欠乏していた。今回の研究には関与していない米カリフォルニア大学アーバイン校のAfshan Hameed氏によれば、このホルモンには、血管拡張作用を含むさまざまな作用があるという。

 Hameed氏は「リラキシンが欠乏すると、大動脈を中心とする血管が硬いままである可能性がある。妊娠初期に硬くなりやすい血管では、リラキシンが一定の役割を果たしているのではないかとする説もあり、このことはその後に発症する妊娠高血圧腎症にもつながる」と説明している。ただし、同氏は、血管の収縮や拡張に関与するホルモンはリラキシン以外にも数多くあるとし、「この研究では、これらの血管作動性ホルモンに関するデータは示されていない」と付け加えている。

 Conrad氏も、今回の研究では黄体やリラキシンの欠乏と妊娠高血圧腎症との関連が認められたに過ぎないと認めているが、今回の結果については「説得力のあるものだ」と強調している。同氏によれば、自然周期または排卵誘発剤を用いた自然周期で凍結胚移植を行う場合と、ホルモン補充周期で行う場合を比較検討するランダム化比較試験が、論文の共著者であるValerie Baker氏によって計画されているという。

 Conrad氏の説明では、新鮮胚移植では出生児の低体重リスクや在胎期間に相当する標準身長や体重と比べて小さく生まれる在胎不当過小(small for gestational age;SGA)リスクが高い。一方、凍結胚移植ではこれらのリスクは低いが、妊娠高血圧腎症のリスクは高いとされる。これら全ての問題に対処する方法として、同氏は「排卵誘発剤を用いた自然周期で凍結胚を移植するか、黄体非形成に関連する因子を補うこと」を挙げた上で、「実際に試す前にはさらなる研究が必要だ」と話している。

[2019年1月14日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. Not all views expressed in this story reflect the official position of the American Heart Association. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
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