親を対象にダウン症児のライフスキルを調査

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HealthDay News

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 ダウン症の子どもを持つ親は、わが子が将来、ライフスキルを身につけて自立した生活を送れるようになるのか不安に思うことが多い。しかし、状況は決して暗いものではないようだ。米マサチューセッツ総合病院のBrian Skotko氏らが実施した研究で、ダウン症の子どもの多くは12歳までに話せるようになり、20歳までには独立して働けるようになることが分かった。研究の詳細は「American Journal of Medical Genetics Part A」1月2日オンライン版に掲載された。

 この研究は、ダウン症の子どもを持つ計2,658人の親を対象に実施された、米国(2008~2009年)およびオランダ(2016年)の2つの研究結果を分析したもの。調査では、ダウン症のわが子について、11項目(「歩行」「食べること」「発話」「身支度」「衛生管理」「読み書き」「食事の支度」「仕事」「異性との交際」「一人旅」「自立した生活」)をどの程度できるのか、その能力を評価してもらった。また、健康面での問題や学習困難の有無についても尋ねた。

 調査対象となったダウン症の子どもの年齢層は幅広かったが、多くが20歳以下の若年者であった。調査の結果、米国では、ダウン症の人の多くは生後25カ月までに歩けるようになり、12歳までに十分に話すことができ、13歳までに歯磨きなどの衛生管理が一人でできるようになっていた。また、20歳までに独立して働くことができるようにもなっていた。

 さらに、31歳までには、49%が相応の読解力を身につけ、46%が文章を書くことができ、34%が自立した生活を送れるようになったほか、約30%は一人で旅行することができるようになっていた。ダウン症の人では健康問題よりも学習面での困難さが多く報告されていたが、成長するに伴って深刻な健康問題が増加していた。オランダの調査でもほぼ同様の結果が得られた。

 今回の調査について、Skotko氏は「2,000人を超える親から得た回答に基づいて、ある子どもが他のダウン症の子どもに比べて、成長がどのくらい遅れているかを医師が判断し、必要があればさらに支援するための指針が得られた」と述べている。

 Skotko氏は「近年では、出生前診断を受ける妊婦が増えている。検査で胎児にダウン症の疑いがあるという結果が出れば、妊婦やその家族は真実を知りたがる」と話す。しかし、同氏は「一般的な考えに反して、ダウン症の人は、大人になっても機能的なスキルを獲得し続け、それらを向上させることができる」と説明している。

 米国では、子どもがダウン症などの先天性障害を持って生まれてきた場合に、「妊娠中絶を選択するための情報が提供されなかった」「本人は苦痛に満ちた人生を送っている」と主張する「ロングフルバース(wrongful birth)」「ロングフルライフ(wrongful life)」と呼ばれる訴訟が起こっている。Skotko氏は「こうした訴訟では、ダウン症の子どもが理論上、身につけられると期待できる基本的な質問が議論の的となる。しかし、このような議論は時代遅れの憶測ではなく、正確な情報を元に展開されるべきで、今回の結果が役立つことを期待している」と話している。

[2019年1月7日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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