オピオイド処方例の3分の1に疼痛の診断歴なし

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 米国ではオピオイド系鎮痛薬(以下、オピオイド)の依存症の蔓延が問題となっているが、米ハーバード大学医学部内科/米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のTisamarie Sherry氏らが実施した調査から、外来患者のオピオイド処方例の3分の1近くで疼痛と診断された記録がないことが明らかになった。この結果を受け、同氏らは「依存性の高い薬剤を処方する際には、処方時の記録に関する規制を強める必要がある」と指摘している。調査結果は「Annals of Internal Medicine」9月11日号に発表された。

 米疾病対策センター(CDC)によると、2016年に米国で薬物の過剰摂取が原因で死亡した人は6万3,600人を超える。このうち3分の2がオピオイドに関連した死亡だった。また、米国では毎日平均115人がオピオイドの過剰摂取により死亡していると推定されている。

 Sherry氏らは今回、全米の外来患者の調査データを用いて、2006~2015年の外来患者(18歳以上)の約8億900万件に上る医療記録を調べた。その結果、このうち3万1,943件でオピオイドが処方されており、5.1%はがん性疼痛に、66.4%は腰痛や糖尿病性神経障害、変形性関節症などの非がん性疼痛に対して処方されていた。

 しかし、残る28.5%では疼痛や疼痛に関連した疾患と診断された記録がなく、高血圧や脂質異常症、オピオイド依存症(全体の2.2%)などに対してオピオイドが処方されていた。疼痛と診断された記録がないオピオイド処方例の割合は、新規処方例(22.7%)と比べて継続処方例(30.5%)で高いことも分かった。

 Sherry氏らは、過去20年にオピオイド処方は劇的に増加しており、その増加率は人口における疼痛患者の増加率を上回っているとし、「オピオイドが適応ではない疾患に対しても高頻度で処方されている可能性がある」との見方を示している。

 依存症の専門家で米スタテン・アイランド大学病院のHarshal Kirane氏は「度重なる政策の変更にもかかわらず、米国内のオピオイド処方率に意味のある減少は認められていないとする分析結果が報告されている」と指摘する。その上で、Sherry氏らの調査結果について、「ずさんな処方の習慣が依然としてまかり通っていることを示した結果であり、憂慮すべきだ」と話している。

 オピオイド中毒の惨状を目の当たりにしてきた米レノックス・ヒル病院の救急医であるRobert Glatter氏は「疼痛の緩和を求める患者に、なぜ最初からオピオイドを処方する必要があるのか、われわれは自問すべきだ」とした上で、副作用や依存症のリスクが低いオピオイド以外の治療薬の選択を考慮することを勧めている。また、正当な理由でオピオイドが処方された症例に対しても、継続処方の妥当性を疑うべきだと強調している。

[2018年9月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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