脳震盪後のフォローアップケアは不十分

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HealthDay News

脳震盪後のフォローアップケアは不十分のイメージ

 米国では、年間数百万人が軽度の外傷性脳損傷(TBI)である脳震盪を起こしているにもかかわらず、患者の多くは適切なフォローアップ治療を受けていないことが、新たな研究で明らかにされた。研究の結果は「JAMA Network Open」5月25日オンライン版に掲載された。

 米国疾病管理予防センター(CDC)によれば、米国では推定320万~530万人がTBIによる長期障害を抱えて生活している。また、TBIは2013年の米国での救急受診のうち280万件を占め、直接的、間接的費用は760億ドルを超えるという。しかし、軽度TBI患者における退院後のフォローアップ治療について調べた研究は少なく、フォローアップ治療が適切に行われているかどうかは不明だった。

 今回、論文の筆頭著者である米南カリフォルニア大学Schaeffer健康政策・経済センターのSeth Seabury氏らは、米国のTransforming Research and Clinical Knowledge in Traumatic Brain Injury(TRACK-TBI)研究のデータを用いて、2014年2月~2016年8月に登録された軽度TBI患者が退院後どのようなフォローアップケアを受けたかを調査した。

 TRACK-TBI研究は、米国内にある11の高度外傷センター救急部門に搬送された17歳以上のTBI患者を対象とした前向き長期観察研究である。対象となった患者は831人(平均年齢40.3歳、女性58%)で、退院時にTBIに関する患者教育用資料を受け取った患者は42%(353人)、受傷後3カ月に医師などの診察を受けていた患者は44%(367人)であった。

 CTスキャンで脳損傷が認められた236人の患者のうち39%(92人)は受傷後3カ月でも医師などの診察を受けていなかった。さらに、3つ以上の中等度~重度の脳震盪後症状があった患者279人のうち、受傷後3カ月以内に診察を受けていたのは52%(145人)に過ぎなかった。

 この結果についてSeabury氏は、「脳震盪を起こした患者には長期にわたり後遺症や衰弱がみられることがあるが、著しい脳震盪後症状があった患者でも診察を受けていないことが多かった。それらの症状が脳損傷に関連する可能性があるという認識が患者や医療従事者に不足していることを反映したものだ」と述べている。

 脳震盪は軽度に分類されることが多いが、この「軽度」という用語には語弊があると、Seabury氏は指摘する。脳震盪後には片頭痛、思考力の低下、視力低下、記憶障害、精神的苦痛、人格障害などがみられることがある。脳震盪が軽いけがであるかのように扱われる患者があまりに多いと、研究論文の共著者であるGeoffrey Manley氏も述べ、「もし糖尿病や心疾患で救急受診した患者に対して医師が経過観察を怠れば、医療過誤として糾弾されるはずだ」と指摘している。

 「今回の研究から、フォローアップ治療が必要な患者を適切に特定するためのツールを医師や患者に提供する必要がある」と、Seabury氏は結論付けている。

[2018年5月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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