米国の肺がん検診受診率、2%に届かず

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HealthDay News

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 米国で実施された調査で、肺がんリスクが高い喫煙者や元喫煙者のうち、2016年に肺がん検診を受診した人の割合は2%に満たないことが分かった。米国では、このような高リスク者に対して低線量CT(LDCT)による肺がん検診を推奨しているが、今回明らかになった検診受診率は乳がんや大腸がんなどと比べると極めて低いため、肺がん検診の普及に向けた取り組みを強化する必要があると専門家らは指摘している。なお、この調査結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018、6月1~5日、シカゴ)で発表される。

 今回の調査を実施した米ルイビル大学ジェームズ・グラハム・ブラウンがんセンター血液/腫瘍内科学部のDanh Pham氏らは現在、2017年の肺がん検診受診率についても調査を進めている。中間解析では、前年と比べて受診率はわずかに向上したものの、依然として低いことが分かっているという。

 Pham氏らは今回、2016年の米国放射線学会(ACR)による肺がん検診レジストリ(LCSR)から1,796カ所の検診施設でLDCTを受けた人のデータを収集した。また、2015年の全米健康聞き取り調査(NHIS)のデータを用いて米予防医療専門部会(USPSTF)が推奨する肺がん検診の対象基準を満たした住民の数を推定し、地域ごとのLDCT受診率を割り出した。

 その結果、肺がん検診の対象基準を満たした約760万人の喫煙者および元喫煙者のうち2016年に肺がん検診を受けたのは約14万人に過ぎず、検診受診率はわずか1.9%だった。これに対して、2015年に40歳以上の女性の65%がマンモグラフィー検診を受けていたという。

 なぜ、肺がんの高リスク者層は検診を受けていないのだろうか。その要因について、Pham氏は「検診を提供する側と受ける側の双方に問題があるのではないか」と推測する。「専門家の間では、検診の費用対効果についていまだ意見が分かれており、肺がんの高リスク者ではがん検診のベネフィットに関する十分な理解が不足している」と説明している。

 なお、USPSTFは2013年、55~80歳の症状のない喫煙者または現在は喫煙していないが元ヘビースモーカー(30 pack-years以上)に対し、LDCTによる検診を受診すべきとする勧告を発表した。米国では2018年の肺がんによる死亡者数は15万4,040人と予測されているが、呼吸器の専門家らは「LDCTによる検診で肺がんは早期に発見できる」としている。

 ASCO会長のBruce Johnson氏は、肺がん検診で恩恵を受けるべき人たちのほとんどは、医療サービスを利用しにくい状況にあると指摘している。喫煙者はより社会経済的地位の低い層に多く、喫煙率の高い地域は医療サービスを提供するインフラの整備も不十分である場合が多いという。

 今後、米国肺協会(ALA)は米広告協議会(Ad Council)と協力してラジオやテレビ、印刷物を通じて「Saved by The Scan(検査で助かる)」キャンペーンを展開するとしている。この活動についてJohnson氏は「この運動が広く展開され、肺がん検診の受診率を他のがんのように60~80%まで引き上げることができれば、年間で約1万人の命を救うことができる」と期待を寄せている。

 なお、学会発表された研究結果は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。

[2018年5月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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