たった一晩の睡眠不足でアルツハイマー病リスクが増大?

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HealthDay News

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 たった一晩でも睡眠が不足すると、アルツハイマー病との関連が指摘されているアミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質の蓄積量が脳内で増加することが、米国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)のEhsan Shokri-Kojori氏らによる研究から明らかになった。この研究結果は「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」4月9日オンライン版に掲載された。

 アミロイドβはアルツハイマー病患者の脳内で認められるアミロイドプラークを構成する主なタンパク質で、アルツハイマー病の発症に関与すると考えられている。また、これまでにマウスやヒトの研究で脳内のAβの蓄積には睡眠不足が関連している可能性があることが示されていた。ただ、ヒトの研究の多くは自己申告による睡眠の質に基づいたものであった。

 そこで、Shokri-Kojori氏らは今回、睡眠不足による脳内Aβ蓄積への影響をより正確に評価するため、22~72歳の健康な男女20人(平均年齢39.8歳、10人が女性)を対象とした研究を実施した。

 この研究では、対象者が実験室に二晩にわたって宿泊し、一晩目には十分に睡眠を取り、二晩目には一睡もしないよう指示した。また、それぞれ翌朝に対象者の脳内のAβ蓄積量を定量化するためPET(陽電子放射断層撮影)と放射性薬剤(18F-florbetaben)を用いたアミロイドPET検査を実施した。

 その結果、十分に睡眠を取った翌朝と比べて一睡もしなかった翌朝には脳内のAβの蓄積量が有意に増加していることが分かった。また、Aβ蓄積量の増大は、記憶に関連する海馬や感覚情報を伝達する視床などの脳領域で認められた。

 米マウントサイナイ・ヘルスシステム睡眠医学のAndrew Varga氏によると、一部の専門家の間では神経細胞の「発火(活動電位が発生すること)」がAβの産生に寄与していると考えられているという。「眠らないと神経細胞が発火し続けるため、Aβの蓄積につながる可能性がある。一方、睡眠中は神経細胞が縮小し、細胞間に空間ができるためAβなどの不要な物質が排出されやすくなる」と同氏は説明する。

 しかし、睡眠不足がアルツハイマー病リスクに直接的に関連するかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要だと専門家は口を揃える。今後の研究課題について、Shokri-Kojori氏は「一時的な不眠によってAβが蓄積しても、一晩ぐっすり眠れば消失するのか否かについて検討する必要がある」と指摘。また、Varga氏は「脳内にAβが蓄積した状態が続くと神経細胞が凝集しやすくなるのかどうかを明らかにすべきだ」としている。

[2018年4月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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