NYで多発したまれながん、チェルノブイリ事故と関連か

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 ニューヨーク市で短期間に多発した極めてまれながんの症例が、1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故と関連している可能性があるとする調査結果が発表された。この4年間に同市だけで10人がまれな眼のがんである硝子体網膜リンパ腫(VRL)と診断されたことを受け、米ニューヨーク州立大学オールバニ校公衆衛生学のRoxana Moslehi氏らが患者の特徴を詳しく調べたところ、その過半数が事故の発生時にチェルノブイリの近隣に住んでいたことが分かったという。

 この調査結果は「Leukemia & Lymphoma」2017年11月22日オンライン版に掲載された論文で明らかにされ、1月23日付の同大学のプレスリリースで紹介された。それによると、調査の発端はこの4年間にニューヨーク市内の眼科および臨床腫瘍科の病院4施設で計10人がVRLと診断されたことだった。VRLは眼内に生じるがんで、脳や脊椎に発生する非ホジキンリンパ腫の一種である中枢神経系原発悪性リンパ腫の患者にみられることがある。特異な状況だと感じたこれらの病院の医師らは、遺伝疫学者でありがん研究者でもあるMoslehi氏に10人のVRL患者について疫学的な調査の実施を依頼したという。

 この依頼を受けたMoslehi氏らは、患者がVRLと診断された年齢、人種および民族、これまでの居住地、臨床的な特徴、VRL以外の疾患、家族歴などについて詳細に調べた。その結果、1986年の原発事故発生時に10人のうち4人がウクライナ、1人がポーランド、1人がモルドバに住んでいたことが分かり、計6人がチェルノブイリから近距離の地域に住んでいたことが判明した。

 なお、事故からVRL診断までの期間の中央値は26年で、チェルノブイリから近距離に住んでいた6人にVRL以外の共通した他の疾患はなかった。ただ、調査対象のVRL患者10人中7人がアシュケナージ系ユダヤ人を祖先に持つことが分かった。

 Moslehi氏は「今回の調査から得られた(VRLの)リスク因子や原因を示す手掛かりは、この種のがんや他のリンパ腫が発生する生物学的機序を解明する上で重要だ。この調査結果は放射線被ばくがVRLの原因であることを裏づけるものではないが、今後、放射線による影響に加え、遺伝的および環境的な要因などについても詳細に検討する必要がある」と話す。また、同氏は「VRLのようなまれながんの登録を多施設共同で実施していくことも、研究を進める上で重要だ」としている。

[2018年1月22日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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