長時間透析の有用性は確認できず:ACTIVE Dialysis延長観察/国際腎臓学会

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長時間透析の有用性は確認できず:ACTIVE Dialysis延長観察/国際腎臓学会のイメージ

 血液透析例の予後改善の方策として、透析時間延長の有用性が唱えられている。しかし近年報告されたランダム化試験では、延長による生命予後改善の報告がある一方1)、増悪の報告もある2)

 前者は施設での短時間透析の回数を増やす有用性を検討しており、後者は自宅での夜間透析の回数を増やしていた。いずれも回数増加を介した透析時間の延長を試みていた。では透析を回数ではなく、時間そのものを目安に延長した場合、血液透析例の予後はどうなるだろうか―。この問いに答えるべく、Brendan Smyth氏(オーストラリア・シドニー大学)は、ACTIVE Dialysis試験の延長観察データを解析した。しかし観察研究という限界もあり、長時間透析の有用性は確認できなかった。4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019のLate Breaking Sessionにて報告された。

≧24時間/週透析と≦18時間/週の比較
 ACTIVE Dialysis試験は元来、長時間透析によるQOLへの影響を検討したランダム化試験である。血液透析(施設、自宅を問わず)を施行中の200例が、透析時間12~15時間(上限18時間)/週の「標準」透析群と、≧24時間/週の「長時間」透析群にランダム化され、12ヵ月間追跡された。両群とも、1週間当たりの透析回数や毎回の透析時間は、参加者が自由に設定できた。

 今回報告されたのは、上記の12ヵ月間の追跡終了後、さらに4年間観察した結果である。

 当初の12ヵ月間の追跡終了時、試験に残っていたのは185例だった。平均年齢は52.1歳。透析導入の理由は、糸球体腎炎が41.0%で最も多く、次いで糖尿病性腎症の27.0%、高血圧性腎硬化症の11.0%が続いた。
 
観察期間の大半で透析時間に差はなくなり、生命予後にも有意差なし
 それら185例をさらに4年間観察したデータを解析したが、介入試験終了後の観察研究となったため、「長時間」群における週当たりの透析時間は維持されず短縮。そのため、観察1年後以降は「標準」透析群との差は消失していた。いずれの群も、週の透析時間中央値は12時間であり、観察終了時に「長時間」群で≧24時間/週の透析を受けていたのは5%のみだった。

 その結果、5年生存率は両群とも80%。「標準」透析群に対する「長時間」群の死亡ハザード比(HR)は0.91(95%信頼区間[CI]:0.48~1.72)で、有意差は認められなかった。

長時間透析の有用性が否定されたわけではない
 Smyth氏はそこで、本稿の冒頭にある2試験(「頻回[=長時間]」透析vs.「通常」透析)と今回の結果を併せてメタ解析を行った。すると「長時間」透析では「通常」透析に比べ、死亡HRが0.84となったが、95%信頼区間は「0.57~1.23」で、有意差とはならなかった。しかし試験間のばらつきの指標であるI2は79.6%ときわめて高く、同氏は「このメタ解析をもとに、長時間透析の有用性を否定するのは適切ではない」と注意を促した。

(医学レポーター 宇津 貴史)

■参考
1)Chertow GM,et al. J Am Soc Nephrol. 2016;27:1830-1836.
2)Rocco MV, et al. Am J Kidney Dis. 2015;66:459-468.

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