加齢黄斑変性、死亡リスクとの関連は?

提供元:ケアネット

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公開日:2019/01/22

 

 加齢黄斑変性(AMD)は、網膜下の血管新生を未治療のまま放置すると、不可逆的な視覚障害や失明に至る。中国・中山大学のZhuoting Zhu氏らは、AMDと生存との関連を知ることは、AMDの発現機序の理解に役立つとして解析を行った。その結果、後期AMDは全死因死亡、ならびに心血管疾患とがん以外の原因による死亡の独立した関連因子であることが示されたという。著者は、「この関連は、後期AMDの未測定または評価不十分な交絡因子による可能性もあるが、後期AMDが生物学的老化のマーカーになる可能性を示唆している」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年12月20日号掲載の報告。

 研究グループは、AMDと全死因死亡および原因別死亡との関連を調べる目的で、前向きコホート研究である米国国民健康栄養調査(NHANES)の2005~08年のデータを解析した。
 40歳以上の参加者5,603例の網膜写真を、初期AMD、後期AMDまたはAMDなしに分類し、全死因死亡リスクと原因別死亡リスクを、それぞれCox比例ハザードモデルとFine-Grayモデルを用いて評価した。

 死亡までの時間は、ベースラインから死亡日まで、または2011年12月31日までのいずれか早いほうとし、解析は2018年4月1日~30日に行った。

 主要評価項目は、2011年12月31日までの全死因死亡と原因別死亡のそれぞれの割合とした。

主な結果は以下のとおり。

・対象者は、女性52.6%(2,793例)、白人77.1%(3,017例)、平均年齢±SE:56.4±0.4歳であった。
・全AMD群の加重有病率は6.6%で、初期AMD群は386例(5.8%)、後期AMD群は55例(0.8%)であった。
・追跡期間中央値4.5年(四分位範囲:3.6~5.6年)において、全死因死亡は433例(5.3%)で、このうち361例(83.1%)はAMDなし群、初期AMDの徴候がみられた群は54例(11.5%)、後期AMDの徴候がみられた群は18例(5.4%)であった。なお、72例(16.9%)はベースライン時点で、すでにAMDを有してした。
・全般的に、未調整全死因死亡および原因別死亡の割合は、AMDなし群に比べ、初期AMD群、後期AMD群または全AMD群で高かった。
・しかし、交絡因子で調整後は、後期AMD群にのみ関連が認められ、全死因死亡の割合は2倍以上(ハザード比[HR]:2.01、95%信頼区間[CI]:1.00~4.03)、心血管疾患とがん以外の原因による死亡の割合は3倍以上高かった(HR:3.42、95%CI:1.38~8.49)。
・全AMD群または初期AMD群と、全死亡死因または原因別死亡との間に関連は認められなかった。

(ケアネット)