ペムブロリズマブのNSCLC1次治療、3パターンが国内承認/MSD

提供元:ケアネット

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公開日:2018/12/27

 

 MSD株式会社は、2018年12月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、非小細胞肺がんにおける以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。

・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大
・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大
・PD-L1陽性(TPS1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大

3パターンの試験でペムブロリズマブの有効性および安全性が示された
 今回の適応拡大にあたっては、未治療の転移のある非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-189試験、未治療の転移のある非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-407試験、およびPD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験KEYNOTE-042試験のそれぞれにおいて、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。

 KEYNOTE-189試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者616例において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法が、標準化学療法であるペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善した(HR=0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.00001)。ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤の化学療法併用群の91.9%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、悪心46.2%、貧血38.0%、疲労33.1%、好中球減少症24.9%および食欲減退20.7%であった。

 KEYNOTE-407試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者559例において、ペムブロリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法が、プラセボとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルの併用療法と比較して、OSを有意に改善した(HR=0.64、95% CI:0.49~0.85、p=0.0008)。ペムブロリズマブと化学療法の併用群の95.3%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、脱毛症45.3%、貧血44.2%、好中球減少症34.9%、悪心30.6%、血小板減少症29.1%および下痢21.9%であった。

 KEYNOTE-042試験では、PD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者1,274例において、ペムブロリズマブ単独療法がプラチナ製剤併用化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)と比較してOSを有意に延長した(HR=0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.002)。ペムブロリズマブ群の62.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は甲状腺機能低下症10.8%であった。

 今回の適応拡大により、ペムブロリズマブは、PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する初回治療(PD-L1発現にかかわらず化学療法との併用療法。PD-L1陽性[TPS≧1%]の場合は単独療法も使用可能)に使用できる抗PD-1抗体となる。

(ケアネット 細田 雅之)