日本人教師における仕事のストレスと危険なアルコール消費の性差に関する横断研究

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/18

 

 多くの教師は、仕事に関連するストレスや精神障害のリスクが高いといわれている。また、教師の飲酒運転や危険なアルコール消費(hazardous alcohol consumption:HAC)は、社会問題となっている。そして、燃え尽き症候群、職業性ストレス、自己効力感、仕事満足度に関する教師間の性差が報告されている。大阪市立大学の出口 裕彦氏らは、日本の教師における、認識された個人レベルの職業性ストレスとHACとの関連について性差を明らかにするため、検討を行った。PLOS ONE誌2018年9月20日号の報告。

 2013年に実施された横断研究より、非飲酒者を除く男性教師723名と女性教師476名を対象とした。認識された個人レベルの職業性ストレスの評価には、Generic Job Stress Questionnaire(GJSQ)を用いた。HACの定義は、男性教師でエタノール280g/週以上、女性教師で同210g/週以上とした。多重ロジスティック回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・HACは、男性教師の16.6%、女性教師の12.4%で認められた。
・平均年齢は、男性教師46.9±10.9歳、女性教師39.9±12.3歳であった。
・職務分類別では、学校教師が最も一般的であった(男性:48.7%、女性:86.3%)。
・中程度のストレスレベルを有する男性教師では、調整されたモデルの使用により、管理職からのソーシャルサポートとHACとの関連が認められた(OR:0.43、95%CI:0.23~0.8)。
・高度なストレスレベルを有する女性教師では、調整されたモデルの使用により、仕事量の変動とHACとの関連が認められた(OR:2.09、95%CI:1.04~4.24)。

 著者らは「本研究では、HACは、男性教師において管理職からのソーシャルサポートと負の関連があり、女性教師においては仕事量の変動と正の関連が認められた。教師のHAC予防戦略を策定する際には、性差を考慮する必要がある」としている。

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