日本人統合失調症患者の喫煙率に関する大規模コホートメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/17

 

 統合失調症患者の喫煙は、世界的に一般集団と比較してより多くみられるが、日本での研究結果では矛盾が生じていた。最近では、一般集団の喫煙率は徐々に低下している。金沢医科大学の大井 一高氏らは、日本人の統合失調症患者を対象に、喫煙率の大規模コホートメタ解析を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年9月17日号の報告。

 対象は、喫煙状況に関する日本の大規模コホートメタ解析より、統合失調症患者1,845例および一般集団19万6,845例、25年に及ぶ12件の研究より、統合失調症患者842例および精神医学的に健康な対照者766例(著者らの研究による、統合失調症患者301例および対照者131例を含む)。

 主な結果は以下のとおり。

・著者らのケースコントロールサンプルでは、統合失調症患者において、健康な対照者よりも有意に高い喫煙率が認められた(p=0.031)。
・統合失調症患者のヘビースモーカーの割合(p=0.027)および1日の喫煙本数(p=0.0082)は、健康な対照者よりも有意に高かった。
・統合失調症の喫煙者において、非定型抗精神病薬の投与量と1日の喫煙本数との間に正の相関が認められた(p=0.001)。
・メタ解析では、統合失調症患者は男性(OR:1.53、p=0.035、統合失調症患者:52.9%、一般集団:40.1%)、女性(OR:2.40、p=0.0000108、統合失調症患者:24.4%、一般集団:11.8%)の両方において、一般集団よりも高い喫煙率が認められた。
・男性の統合失調症患者は、男性の健康な対照者よりも高い喫煙率が認められたが(OR:2.84、p=0.00948、統合失調症患者:53.6%、健康な対照者:32.9%)、女性では統計学的に有意な差は認められなかった(OR:1.36、p=0.53、統合失調症患者:17.0%、健康な対照者:14.1%)。
・男女両方において、統合失調症患者は、一般集団(OR:1.88、p=0.000026)および健康な対照者(OR:2.05、p=0.018)よりも高い喫煙率が認められた。
・これらの割合は、患者が登録された年に影響を受けなかった(p>0.05)。
・1日当たりの喫煙値は、統合失調症患者22.0、一般集団18.8であった。

 著者らは「日本における10年以上のデータに基づくと、日本人の統合失調症患者は、一般集団および健康な対照者よりも、喫煙する可能性が約2倍高いことが示唆された」としている。

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(鷹野 敦夫)