社員のうつ病と自殺傾向に対する保護因子としての性格

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社員のうつ病と自殺傾向に対する保護因子としての性格のイメージ

 これまでの職場におけるメンタルヘルスに関する研究では、仕事に関連する環境リスク要因に焦点が当てられており、従業員の保護や個性に関する要因については、考えられていなかった。韓国・中央大学校のHye Ri Kim氏らは、韓国人従業員の抑うつ症状や自殺念慮の保護因子となる性格的長所を特定するため、検討を行った。BMC Public Health誌2018年8月31日号の報告。

 男性84例および女性151例の従業員(19~50歳)を対象に、社会人口学的特性(抑うつ症状、自殺率、性格的長所)を収集した。抑うつ症状の測定にはベック抑うつ質問票(BDI-II)、自殺率は精神疾患簡易構造化面接法韓国語版(MINI)、性格的長所は24 Character Strength Alphas VIA Survey-72を用いた。抑うつ症状と自殺念慮をカテゴリカルな結果変数として、階層的ロジスティック回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・女性における、抑うつ症状の統計学的に有意な性格的長所の予測因子は以下であった。
 ●好奇心(B=1.107、Wald=10.207、オッズ比:3.026、p=0.001)
 ●愛(B=0.862、Wald=5.767、オッズ比:2.367、p=0.016)

・女性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。
 ●判断(B=-1.405、Wald=5.663、オッズ比:0.245、p=0.017)
 ●優しさ(B=-1.456、Wald=6.486、オッズ比:0.233、p=0.011)

・男性における、抑うつ症状の性格的長所の予測因子は以下であった。
 ●愛(B=1.746、Wald=4.279、オッズ比:5.729、p=0.039)

・男性の抑うつ症状に対する性格的長所の保護因子は以下であった。
 ●チームワーク(B=-2.204、Wald=4.666、オッズ比:0.110、p=0.031)

・男性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。
 ●創造性(B=-1.384、Wald=4.202、オッズ比:0.251、p=0.040)

 著者らは「職場におけるうつ病や自殺念慮の予防には、女性では判断や優しさ、男性ではチームワークや創造性に焦点を当て、これらの強みを生かした活動に従事することが重要である。今後の研究では、職場における従業員の性格的長所を促進するための介入の開発に焦点を当てるべきである」としている。

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(鷹野 敦夫)

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