PPIで認知症リスクの増加みられず~大規模症例対照研究

提供元:ケアネット

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公開日:2018/09/03

 

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用とアルツハイマー病(AD)のリスク増加との関連がいくつかの観察研究で報告されているが、使用期間の影響や他の認知症でも当てはまるかどうか検討されていない。スイス・バーゼル大学のPatrick Imfeld氏らは、大規模な症例対照研究により、PPI(またはネガティブコントロールとしてのH2受容体拮抗薬[H2RA])の長期使用と、ADまたは血管性認知症(VaD)の発症リスクとの関連を検討した。その結果、PPIやH2RAに関連するADやVaDのリスク増加はみられなかった。Drug Safety誌オンライン版2018年8月27日号に掲載。

 本研究は、英国を拠点とするClinical Practice Research Datalink(CPRD)での症例対照分析。1998~2015年に、新規にADまたはVaDと診断された65歳以上の4万1,029症例を同定し、対照群の非認知症者に、年齢・性別・暦時間・一般診療・病歴の年数で1対1にマッチさせた。それまでのPPIまたはH2RA使用に関連するADまたはVaD発症の調整オッズ比(aOR)および95%信頼区間(CI)を、条件付きロジスティック回帰分析を用いて薬剤使用期間ごとに算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・長期PPI使用(100処方以上)は非使用と比べ、AD発症リスク(aOR:0.88、95%CI:0.80~0.97)、VaD発症リスク(aOR:1.18、95%CI:1.04~1.33)の増加と関連していなかった。
・H2RAの長期使用(20処方以上)についても、AD発症リスク(aOR:0.94、95%CI:0.87~1.02)、VaD発症リスク(aOR:0.99、95%CI:0.89~1.10)の増加と関連していなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)