アトピー性皮膚炎治療薬デュピルマブ、ワクチン接種に影響なし

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/29

 

 IL-4/IL-13のシグナル伝達を阻害する、抗ヒトIL-4Rα抗体デュピルマブが、アトピー性皮膚炎(AD)患者のワクチン接種後の反応に、どう影響を及ぼすかは知られていない。米国・Oregon Medical Research CenterのAndrew Blauvelt氏らは、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、デュピルマブが、破傷風・ジフテリア・百日咳混合ワクチン(Tdap)および4価髄膜炎菌ワクチンの接種に影響を及ぼさないことを明らかにした。またデュピルマブは、血清総IgE値の有意な減少、プラセボと比較したADの重症度改善、良好な忍容性を示した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年8月6日号掲載の報告。

 研究グループは、破傷風および髄膜炎菌ワクチンによるT細胞の細胞性免疫反応および液性免疫反応、TdapによるIgE抗体の陽転化、およびデュピルマブの有効性と安全性について評価することを目的に、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を実施した。中等度~重度ADの成人患者178例を対象とし、デュピルマブ(300mg)群またはプラセボ群に割り付け、週1回16週間皮下投与した。また、12週時に、Tdapおよび4価髄膜炎菌ワクチンを1回接種した。
 主要評価項目は、16週時に破傷風トキソイドに対して十分なIgG反応を達成している患者の割合であった。

 主な結果は以下のとおり。

・デュピルマブ群とプラセボ群で類似の陽性反応が示された(破傷風菌:83.3%および83.7%、髄膜炎菌:86.7%および87.0%)
・デュピルマブの皮下投与は、血清総IgE値を有意に減少させた。
・デュピルマブ群の大部分は、32週時にTdap IgEが血清反応陰性となった(デュピルマブ群62.2%、プラセボ群34.8%)。
・デュピルマブは、ADの鍵となる有効なエンドポイントを改善した(p<0.001)。
・注射部位反応と結膜炎がデュピルマブ群で多くみられ、プラセボ群ではADの増悪が高頻度であった。

(ケアネット)