統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性・安全性に関するシステマティックレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2018/07/27

 

 統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性、安全性について、ブラジル・サンパウロ大学のEsther Leticia Amorim Ribeiro氏らが、システマティックレビューにて検証を行った。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2018年6月15日号の報告。

 2017年3月31日までに公表された論文を、PubMed、Cochrane Library、LILACS、Centre for Reviews and Disseminationより検索を行った。統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性や安全性を評価したランダム化比較試験のメタ解析によるシステマティックレビューが対象に含まれた。研究選択、データ抽出、品質評価は、2人の独立した研究者により実施された。エビデンスの質の評価には、GARADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)、バイアスリスクの評価には、ROBIS(Risk of Bias in Systematic Review)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・包括基準を満たした研究は14件であった。
・アリピプラゾールの有効性は、定型抗精神病薬およびオランザピン、amisulprideを除く非定型抗精神病薬と同等であった。
・アリピプラゾールは、クロザピン、リスペリドン、オランザピンと比較し、体重増加、グルコースおよびコレステロール値の変化が有意に低かった。
・アリピプラゾールは、定型抗精神病薬、リスペリドンと比較し、一般的な錐体外路系副作用、抗パーキンソン薬の使用、アカシジアが有意に少なかった。
・全体的なエビデンスの質は、「非常に低い」~「中程度」であり、その主な要因は、元論文のバイアスリスク、矛盾、アウトカムの不正確性であった。
・ROBISによる評価では、バイアスリスクが「高い」レビュー(4件)と「不明確」なレビュー(5件)が示された。

 著者らは「アリピプラゾールは、他の抗精神病薬と同等の有効性を有することが示唆された。また、定型抗精神病薬と比較し錐体外路症状が少なく、他の非定型抗精神病薬と比較し代謝系の副作用が少ないことから、他の抗精神病薬よりも優れた安全性プロファイルを有することが示唆された」としている。

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(鷹野 敦夫)