魚類の摂取と認知症リスクに関するメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2018/07/25

 

 英国・ウルバーハンプトン大学のAishat T. Bakre氏らは、魚類の摂取と認知症リスクおよび用量反応との関連性を評価し、低、中、高所得国におけるこれらの関連性の変化について調査を行った。Public health nutrition誌2018年7月号の報告。

 新たにコミュニティベースの横断研究およびシステマティック文献レビューを実施した。対象地域は、中国の都市部と農村部。人口ベースの研究は、世界的な文献よりシステマティックに検索を行った。中国の6つの省における60歳以上の中国人6,981例が、認知症の有病率とリスクファクターに関する健康調査に参加した。さらに、適格基準を満たした11研究より3万3,964例がシステマティックレビュー、メタ解析に含まれた。

 主な結果は以下のとおり。

・新たな中国の調査では、326例(4.7%)が認知症と診断された。過去2年間に一定量の魚類を摂取していた人は、魚類を摂取していなかった人と比較し、認知症リスクが低下していたが(調整OR:0.73、95%CI:0.64~0.99)、用量反応については統計学的に有意な差が認められなかった。
・文献および新たな研究から得られたデータによるメタ解析では、魚類を摂取していた人の認知症の相対リスク(RR)は、0.80(95%CI:0.74~0.87)であり、その影響は、所得水準の異なる国々でも同様であった。
・プールされた用量反応データによるRRは、低所得国で0.84(95%CI:0.72~0.98)、中所得国で0.78(95%CI:0.68~0.90)、高所得国で0.77(95%CI:0.61~0.98)であった。
・アルツハイマー病に関するRRは、低所得国で0.88(95%CI:0.74~1.04)、中所得国で0.79(95%CI:0.65~0.96)、高所得国で0.67(95%CI:0.58~0.78)であった。

 著者らは「より多い魚類の摂取は、認知症リスクの低下と関連が認められた。魚類の摂取量を増やすことは、所得水準にかかわらず、世界中の認知症予防に役立つと考えられる」としている。

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(鷹野 敦夫)