日本人思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性、安全性

提供元:ケアネット

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公開日:2018/06/21

 

 東海大学の松本 英夫氏らは、日本における思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年5月18日号の報告。

 6週間のランダム化二重盲検用量比較試験において、思春期統合失調症患者(13~17歳)をアリピプラゾール2mg/日群、6~12mg/日群、24~30mg/日群にランダムに割り付けた。6週間の試験終了後、対象患者は52週間のフレキシブルドーズオープンラベル拡大試験(初回用量:2mg/日、維持用量:6~24mg/日、最大用量:30mg/日)に移行した。

 主な結果は以下のとおり。

【6週間のランダム化二重盲検用量比較試験】
・治療を完了した患者の割合は、2mg/日群で77.1%(35例中27例)、6~12mg/日群で80.0%(30例中24例)、24~30mg/日群で85.4%(41例中35例)であった。
・ベースラインからエンドポイントまでのPANSS総スコアの最小二乗平均変化量は、2mg/日群で-19.6、6~12mg/日群で-16.5、24~30mg/日群で-21.6であった。
・いずれの群においても20%以上で認められた治療下で発現した有害事象(TEAE)は、悪心、アカシジア、不眠、傾眠であった。
・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。また、死亡例はなかった。

【52週間のフレキシブルドーズオープンラベル拡大試験】
・治療を完了した患者の割合は、60.3%(68例中41例)であった。オープンラベル試験開始時から52週までのPANSS総スコアは、7.9減少した。
・20%以上で認められたTEAEは、鼻咽頭炎と傾眠であった。
・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。また、死亡例はなかった。

 著者らは「日本における思春期統合失調症に対するアリピプラゾールの短期および長期治療は、安全かつ十分な忍容性を有することが示唆された」としている。

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(鷹野 敦夫)