皮膚がんの遠隔ダーモスコピー診断による費用対効果は?

提供元:ケアネット

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公開日:2018/06/13

 

 遠隔ダーモスコピー診断(teledermoscopy)は、皮膚がん診断の有望な方法となる可能性が報告されているが、経済的な調査はされていなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のCentaine L. Snoswell氏らはオーストラリアでの費用対効果を検討し、遠隔ダーモスコピー診断の利用は、1例当たり54.64オーストラリアドルの追加費用を要するものの、通常の診療情報提供書などによる依頼に比べ、臨床的な解決が26日早まることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「遠隔ダーモスコピー診断の実施を勧告するかどうかは、オーストラリア医療制度の政策決定者が、より低コストか、あるいは臨床的解決までの日数短縮か、どちらを選択するかによる」としたうえで、「臨床的解決の優先が臨床的な意義を果たし、そして患者にとって重要かどうかについての研究を行うことで、遠隔ダーモスコピー診断が推奨されるようになるかもしれない」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年5月9日号掲載の報告。

 研究グループは、オーストラリアにおける皮膚がんの診断と治療の紹介過程としての遠隔ダーモスコピー診断の費用対効果を評価する目的で、一般公開されているプライマリケアのデータを活用し、決定分析モデルを作成して費用効果分析を行った。

 皮膚がんが疑われる場合の皮膚科専門医への紹介について、遠隔ダーモスコピー診断(デジタルダーモスコピー画像を含む電子紹介システム)と通常診療(診療情報提供書による依頼)の費用を比較した。

 主要評価項目は、臨床的な解決までの費用と日数で、臨床的な解決は皮膚科医による診断または一般開業医による切除と定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・決定分析モデルによる解析の結果、臨床的な解決までに要した日数は、遠隔ダーモスコピー診断が平均9日(範囲:1~50)に対し、通常診療のみでは平均35日(同:0~138)で、日数差は26日(95%確信区間[CrI]:13~38)であった。
・患者1人当たりの推定平均費用は、遠隔ダーモスコピー診断が318.39オーストラリアドル、通常診療が263.75オーストラリアドルで、差は54.64オーストラリアドル(同:22.69~97.35)であった。
・増分費用効果比は、2.10オーストラリアドル/日(同:0.87~5.29)であった。

(ケアネット)