鼻炎患者の半数以上が未治療のまま?

提供元:ケアネット

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公開日:2018/05/30

 

 アレルギー性鼻炎の患者数は近年増加しており、本疾患による労働者1人当たりの経済的損失額は19万1,783円/年になるという報告もある。鳥居薬品株式会社は、「通年性アレルギー性鼻炎・花粉症 全国意識・実態調査」を実施し、結果を公表した。

 調査の結果、長年アレルギー性鼻炎の症状に悩まされている患者の割合が回答者全体の半分以上であるにもかかわらず、医療機関への定期受診率は20%未満であり、疾患の原因と治療法の認識不足が浮き彫りになった。他科受診などを機会に、鼻炎症状が見られた場合、症状の程度や治療の理解についての確認が必要かもしれない。

 本研究は、全国の通年性アレルギー性鼻炎、花粉症いずれかの症状を申告した15~64歳の患者4,692例(各都道府県100例、山梨県のみ92例[調査結果の分析ではウェイトバック集計で補正])と、子供(5~15歳の小児)が両疾患のいずれかを持っていると申告した保護者1,600名(全国を8地域に分け、各地方200名)を対象に、2018年3月、インターネット調査として実施された。

 主な結果は以下のとおり。

・症状を自覚し、10年以上悩まされている患者は、通年性アレルギー性鼻炎で64.6%、花粉症で51.9%だった。また、症状が出てから3年以上症状に悩まされている小児は、通年性アレルギー性鼻炎で53.8%、花粉症で48.0%だった。

・症状や対策で、最も不満に思っていることは「完治しない」が最多だった。
 患 者/通年性アレルギー性鼻炎:47.3%、花粉症:41.0%
 保護者/通年性アレルギー性鼻炎:49.4%、花粉症:43.0%

・患者における医療機関への定期受診率は、通年性アレルギー性鼻炎で8.1%、花粉症で16.0%だった。未受診の理由は、通年性アレルギー性鼻炎では「体質だから仕方ない」が、花粉症では「市販薬で対応しているから」が上位を占めた。また、小児における定期受診率は、通年性アレルギー性鼻炎で19.8%、花粉症で36.1%だった。

・「舌下免疫療法」による治療の意向がある保護者は、通年性アレルギー性鼻炎で45.0%、花粉症で48.4%だった。

 調査の監修を担当した大久保 公裕氏(日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部・感覚器科学分野 教授)は、「アレルギー治療において重要なことは、まず症状の原因を特定し、できる限りその原因を避けることにあります。とくに小児においては、幼少期のアレルギー疾患が起点となり他のアレルギー疾患に進展する傾向がみられること(アレルギーマーチ)が知られており、その重要性はなおさらです。今後はより多くの患者さんがアレルギー疾患、検査、治療に対して正しい情報を得ることができ、より適切な対処ができるよう、そしてわれわれ医療者はそれらに対応できるようになることが求められています」とコメントしている。

■参考
鳥居薬品株式会社 プレスリリース

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(ケアネット 堀間 莉穂)