CVD-REAL2試験、SGLT2阻害薬で心血管リスク低下

提供元:ケアネット

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公開日:2018/03/23

 

 アジア太平洋、中東、北米の6ヵ国の40万例超の2型糖尿病患者を対象としたCVD-REAL試験の新たな解析(CVD-REAL2)により、SGLT2阻害薬投与患者は他の血糖降下薬と比べて、患者特性にかかわらず心血管イベントリスクが低いことが示された。本結果は第67回米国心臓病学会年次学術集会(ACC2018)で発表され、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2018年3月7日号にも掲載された。

CVD-REAL2試験でのSGLT2阻害薬のHRは全死亡で0.51

 これまでに無作為化試験で、心血管リスクの高い2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬治療により心血管イベントリスクが低下することが示されている。また、リアルワールドデータでも、広範なリスクプロファイルを有する2型糖尿病患者において同様の効果が示唆されているが、評価項目は心不全と全死亡に焦点が当てられ、また欧米に限られていた。

 CVD-REAL2試験では、日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、イスラエル、カナダにおけるレセプトデータベース、診療記録、国家レジストリから、SGLT2阻害薬および他の血糖降下薬の新規使用者を特定した。それぞれの国で、SGLT2阻害薬開始の傾向スコアを用いて1:1でマッチングさせた。全死亡、心不全による入院(HHF)、全死亡もしくはHHF、心筋梗塞、脳卒中のハザード比(HR)を国ごとに評価し、重み付きメタ分析を用いて統合した。

 CVD-REAL2試験の主な結果は以下のとおり。

・傾向スコアによるマッチングにより各群23万5,064例となった。うち74%は心血管疾患の既往がなかった。両群で患者特性のバランスがとれていた。
・SGLT2阻害薬の使用薬剤の割合は、ダパグリフロジン75%、エンパグリフロジン9%、イプラグリフロジン8%、カナグリフロジン4%、トホグリフロジン3%、ルセオグリフロジン1%であった。
・他の血糖降下薬と比較したSGLT2阻害薬のHRは以下のようであった。
  全死亡:0.51(95%CI:0.37~0.70、p<0.001)
  HHF:0.64(95%CI:0.50~0.82、p=0.001)
  全死亡もしくはHHF:0.60(95%CI:0.47~0.76、p<0.001)
  心筋梗塞:0.81(95%CI:0.74~0.88、p<0.001)
  脳卒中:0.68(95%CI:0.55~0.84、p<0.001)
・結果は、国によらず、心血管疾患の有無などの患者サブグループにかかわらず、方向性は一致していた。

(ケアネット 金沢 浩子)