心不全に関する記者発表会~日本循環器学会/日本心不全学会

提供元:ケアネット

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公開日:2018/03/22

 

 2018年3月19日、「最近よく耳にする心不全~心不全の解説と予防の重要性~」と題した記者発表会(主催:日本循環器学会、日本心不全学会)が開催された。

 最初に小室 一成氏(日本循環器学会代表理事)が「イントロダクション」を、続いて斎藤 能彦氏(日本循環器学会学術委員会委員長)が「心不全啓発キャンペーン」、筒井 裕之氏(日本心不全学会理事長)が「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」を、最後に三谷 義英氏(日本循環器学会小児・成人先天性心疾患部会長)が「先天性心疾患の成人への移行医療に関する提言の概要」について講演した。

 小室氏は、講演の中で、心不全患者の増加はもちろん、循環器疾患を原因とした介護人口、医療費の増加、心不全診療の課題等について紹介し、今後、心不全に対する社会および医療界の関心を上げることの重要性を説いた。

 斎藤氏は、啓発キャンペーンの一環として行った一般向けおよびプライマリケア医向け啓発セミナーや、イメージキャラクターとして忍者ハットリくんを起用したポスター/バルーンの作成等、一般の人にも馴染みやすい方法で啓発を行っていることを発表し、心不全啓発成功への期待を述べた。

 筒井氏は、講演の中で、今回の心不全ガイドラインには主に10の大きな改訂ポイントがあると述べ、心不全の定義を明確化したこと、心不全のリスクの進展ステージと治療目標を新たに作成したこと、心不全の発症・進展予防を重要視したことが紹介された。改訂ガイドラインは、3月24日、第82回日本循環器学会学術集会(大阪)のガイドライン委員会セッションで詳しく発表し、即日、学会ホームページに掲載する予定であるという。

 三谷氏は、先天性心疾患例は、医療技術の進歩により成人例が増加する一方で、小児と成人診療科の連携が不足している現状を紹介し、その解決のために、先天性心疾患の成人への移行医療に関する提言を、本日(19日)厚生労働省に提出したと報告した。

(ケアネット 鈴木 渉)