抗VEGF薬硝子体内注射の効果をリアルワールドデータで確認

提供元:ケアネット

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公開日:2018/02/07

 

 米国・ラッシュ大学医療センターのElizabeth A. Atchison氏らは、米国眼科学会(AAO)によるIRIS(Intelligent Research in Sight)レジストリのデータを解析し、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体内注射後の眼圧低下は、わずかだが統計的に有意に持続していることを明らかにした。臨床的に有意な眼圧上昇は、治療眼全体で2.6%に認められたという。Ophthalmology誌オンライン版2018年1月11日号掲載の報告。

 研究グループは、抗VEGF薬硝子体内注射後の眼圧の違いを同定する目的で、IRISレジストリに登録され、右眼に抗VEGF硝子体内注射(ベバシズマブ、アフリベルセプトまたはラニビズマブのいずれか1種類のみ)を受けた患者2万3,776例について解析した。加齢黄斑変性のみの患者、および試験前1年以上抗VEGF薬硝子体内注射を受けなかった患者をサブグループとした。
 上記3剤について、それぞれ12、18および25回以上注射を受けた患者を解析対象とし、未治療眼と比較した。主要評価項目は、少なくとも1年後におけるベースラインからの平均眼圧変化量、および臨床的に重大な眼圧上昇(変化量6mmHg以上で、眼圧が21mmHg以上と定義)を認めた眼の割合とした。

 主な結果は以下のとおり。

・全例でベースラインからの眼圧低下が認められ、治療眼では平均0.9mmHg低下し、未治療眼では平均0.2mmHg低下した。この差は統計学的に有意であった。
・一般化線形モデルを用いた解析の結果、アフリベルセプトおよびラニビズマブと比較し、ベバシズマブで眼圧低下がやや少ないことが示された。
・臨床的に有意な眼圧上昇は、全体で治療眼2.6%、未治療眼1.5%に認められ、薬剤別では、アフリベルセプト1.9%、ラニビズマブ2.8%、ベバシズマブ2.8%であった。
・臨床的に有意な眼圧上昇の割合は、ベバシズマブとラニビズマブでは未治療眼に比べ治療眼で高かったが、アフリベルセプトでは差はなかった。

(ケアネット)