セリチニブ、食事との服用で有効性維持と毒性低減を両立(ASCEND-8)/WCLC2017

提供元:ケアネット

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公開日:2017/11/27

 

 セリチニブ(商品名:ジカディア)750mg空腹時投与は、未治療の進行ALK陽性NSCLCに優れた効果を示すものの、下痢、悪心嘔吐などの消化器症状が発現する。ASCND-8は、ALK陽性NSCLCに対し、セリチニブ450または600mgを低脂肪食と服用した群と、750mgの空腹時服用を比較した無作為化オープンラベル試験。第18回世界肺癌(WCLC)では、未治療患者における有効性の中間解析と、安全性のアップデート結果について、韓国・Yonsei Cancer CenterのCho BC氏が発表した。

 ASCND-8試験の対象は、StageIIIB~IVのALK陽性NSCLC患者(脳転移は許容)で既治療・未治療を含む。24ヵ国70施設から267名の患者が登録され、セリチニブ450mg+低脂肪食群、600mg群+低脂肪食群、750mg群空腹時投与群に均等に割り付けられた。セリチニブ450mg群+低脂肪食群は89例、600mg群+低脂肪食群は87例、750mg群空腹時投与群は91例である。

 登録267例中、安全性は265例で分析され、有効性は未治療の121例のみで分析された。全体の追跡期間は14.3ヵ月、有効性評価の対象となる初回治療患者の追跡期間は9.7ヵ月であった。主要評価項目は独立第3者評価機関(BIRC)評価による奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)。副次評価項目は、治験担当医によるORRとDOR、BIRCと治験担当医による再発までの期間、DCR、無増悪生存期間(PFS)、および全生存期間である。

 主要評価項目であるBIRC評価のORRはセリチニブ450mg+低脂肪食群78.0%、650mg+低脂肪食群75.0%、750mg群空腹時服用群70.0%であった。BICR評価のDORはそれぞれ16.4ヵ月、未到達、10.4ヵ月であった。PFSはそれぞれ17.6ヵ月、未到達、10.9ヵ月であった。

 薬剤暴露については450mg+低脂肪食群が3群の中で最も高く、投与量減量は450mg+低脂肪食群が3群の中で最も低かった。

 薬剤関連有害事象(AE)頻度は3群でそれぞれ22.5%、29.1%、22.2%と同等であった。AEプロファイルも3群で同様であったが、消化器毒性は450mg+低脂肪食群で顕著に少なかった。450mg+低脂肪食群の消化器毒性は主にGrade1であり、消化器毒性による治療中断も450mg+低脂肪食ではみられなかった。

 セリチニブ450mg+低脂肪食群は、750mg空腹時投与群と比べ、減量および中断が少なく治療強度が高く、また消化器AEも少なかった。一方、ORR、DCR、TTRなど有効性は以前の試験と同等の効果を示した。これらの結果から、セリチニブ450mgと低脂肪食の服用は、未治療のALK陽性NSCLCへの新たな治療選択肢となり得ると、Cho BC氏は述べた。

■参考
ASCEND-8(Clinical Trials.gov)

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(ケアネット 細田 雅之)