アレクチニブ耐性の日本人進行NSCLCへのセリチニブの有効性は(ASCEND-9)/日本肺癌学会2017

提供元:ケアネット

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公開日:2017/11/16

 

 ALK遺伝子転座陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する一次治療として、アレクチニブが本邦で推奨されているが、多くの患者で耐性獲得とともに、再び進行する。第58回日本肺癌学会学術集会で、国立がん研究センター中央病院の堀之内 秀仁氏が、アレクチニブ治療歴のあるALK陽性NSCLC患者における第2世代ALK-TKIセリチニブの第II相非盲検単群試験、ASCEND-9の結果について発表した。

 対象は、アレクチニブ治療歴(±クリゾチニブおよび/または1レジメンの化学療法歴)があり、全身状態が良好(WHO PS 0~1)なALK陽性の局所進行・転移性NSCLC患者で、日本国内の9施設から20例が組み入れられた。28日間を1サイクルとして、セリチニブ(750mg/日)が、増悪または許容できない有害事象が発現するまで投与された。主要評価項目は、RECIST v1.1による奏効率(ORR)で、副次評価項目は、疾患制御率(DCR)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などであった。

 患者背景については、被験者の多くがStageIV (19例) で、StageIIIBが1例であった。12例で脳転移がみられた。前治療歴については、4例がクリゾチニブによる治療を受けており、14例が2レジメン以上の治療を受けていた。また、アレクチニブで完全奏効(CR)が得られていたのが3例、部分奏効(PR)が得られていたのが14例であった。

 試験の結果、5例の患者で奏功が確認され(CRが1例、PRが4例)、ORRは25%(95%信頼区間[CI]:8.7~49.1)であった。DCRは70%(95%CI:45.7~88.1)、DORおよびTTRの中央値はそれぞれ6.3ヵ月(95%CI:3.5~9.2)、1.8ヵ月(1.8~2.0)。PFS中央値は、3.7ヵ月(95%CI:1.9~5.3)だった。

 有害事象(AE)については、すべての患者でGrade1以上のAEが発現した。重篤な有害事象(SAE)は10例(50%)で発現した。AE発現のために投薬を中止したのが3例(15%;貧血、急性腎障害、および胸水)で、投薬中断が必要となったのは18例(90%;ALT増加、下痢、血中クレアチニン上昇など)であった。多くみられたAEは下痢(17 例[85%])、悪心(16例 [80%])および嘔吐(13 例[65%])であった。

■参考
NCT 02450903(Clinical Trials.gov)

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(ケアネット 遊佐 なつみ)