肺動脈圧ガイドにおける左心室収縮能が低下した心不全のマネジメント

提供元:ケアネット

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公開日:2017/10/19

 

 ガイドラインに準じた薬物療法が増えているにも関わらず、左心室の駆出率が低下した心不全(heart failure and reduced ejection fraction:HFrEF)患者の一部は入院、および死亡率が依然高い。そこで、米国Brigham and Women’s HospitalのMichael M Givertz氏ら研究グループが、肺動脈圧の遠隔モニターにより薬物療法の最適化と予後を改善につながる情報を臨床医に提供しうるか検証した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年10月10日号に掲載。

CHAMPION試験:LVEFが低下した患者に対するサブ解析
 CHAMPION(CardioMEMS Heart Sensor Allows Monitoring of Pressure to Improve Outcomes in NYHA Class III Heart Failure Patients trial)試験では、550例の慢性心不全患者を左室駆出率に関わらず登録し、事前に決められたサブグループ解析で、左室駆出率が低下(LVEF≦40%)した心不全患者の入院と死亡率について、治療群とコントロール群とで比較した。ガイドラインに準じた薬物療法の使用が可能なケースについては、事後解析が行われた。入院と死亡率の解析には、Andersen-GillとCox比例ハザードモデルが使われた。

ガイドラインに準じた薬物療法が行われている場合、心不全入院33%、死亡率47%低下
 HFrEF患者456例のうち、心不全での入院率は治療群でコントロール群に比べて28%低く(ハザード比[HR]:0.72、 95%信頼区間[CI]: 0.59~0.88、 p= 0.0013)、統計学的な有意差には至らなかったが、死亡率が32%低下する傾向が認められた(HR:0.68、95% CI:0.45~1.02、p=0.06)。試験開始時にガイドラインに準じた薬物療法(ACEI、ARBもしくはβ遮断薬)を少なくとも1種類内服している患者が445例おり、これらの患者では心不全の入院率が33%低下し(HR:0.67、95%CI、0.54~0.82、p=0.0002)、死亡率は47%低かった(HR:0.63、95%CI:0.41~0.96、p=0.0293)。コントロール群と比較して、ガイドラインに準じた薬物療法を2種類とも内服している群(337例)では、心不全の入院が43%低下し(HR:0.57、95%CI:0.45~0.74、p<0.0001)、死亡率は57%低下した(HR:0.43、95%CI:0.24~0.76、p=0.0026)。検証の結果、肺動脈圧を使用した心不全のマネジメントは、心不全の悪化と死亡率を低下させるとともに、血行動態と神経ホルモンの双方を改善するという相乗効果の重要性を明らかにした。

CardioMEMS


(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)

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