オラパリブがBRCA遺伝子変異陽性乳がんの希少疾病用医薬品に指定

提供元:ケアネット

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公開日:2017/10/02

 

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は、現在開発中のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤オラパリブが、「BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳がん」を予定される効能・効果として、2017年9月29日、厚生労働大臣より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けたと発表した。本邦では、オラパリブは2017年3月に「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣がん」の希少疾病用医薬品に指定されている。

 オラパリブは、ファースト・イン・クラスのポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常を来したがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する。生殖細胞系BRCABRCA1またはBRCA2)遺伝子変異陽性HER2陰性転移性乳がんを対象にオラパリブと化学療法(カペシタビン、エリブリンまたはビノレルビンのいずれか)を比較した、国際共同第Ⅲ相試験OlympiADにおいて、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長している(7.0ヵ月 vs. 4.2ヵ月、HR:0.58、95%CI:0.43~0.80、p=0.0009)。

 BRCA遺伝子変異陽性乳がんの推定患者数は、本邦において約6,000~10,000人ときわめて稀であるものの、散発性の乳がんとは異なる病態的特性を持ち、HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome:遺伝性乳がん・卵巣がん症候群)という疾患概念の一部として認識されている。悪性度が高く予後が不良である可能性が示唆されており、とくに進行・再発性のBRCA遺伝子変異陽性乳がんにおいては、現在の標準治療では効果が限定的で副作用も大きな負担となることから、効果と忍容性の高い薬剤が必要とされているが、BRCA遺伝子変異陽性乳がんに対する分子生物学上の特性を考慮した治療薬剤は、本邦ではまだ承認されていない。

■参考
アストラゼネカ株式会社プレスリリース

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(ケアネット 遊佐 なつみ)