durvalumabとオシメルチニブは新たな標準治療となりうるか:PACIFIC/FLAURA試験

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ケアネット

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 欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)では、抗PD-L1抗体durvalumabの第III相PACIFIC試験ならびに第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相FLAURA試験という、肺がん領域の2つの大きな臨床試験結果が発表された。発表後、PACIFIC試験の主任研究者であるスペイン・Hospital Universitario de OctubreのLuis Paz-Ares氏、FLAURA試験の主任研究者である米国・Winship Cancer Institute of Emory UniversityのSuresh Ramalingam氏がプレスに対して試験結果について解説した。本稿では、開発企業であるアストラゼネカ株式会社メディカル本部オンコロジー領域部部門長の橋上 聖氏および同社Global Medicines Development、Head of Oncology、Senior Vice PresidentのKlaus Edvadsen氏へのインタビュー内容を交え、今回の結果からみえてきた点や今後の展望について紹介する。

放射線療法と免疫療法の間に相乗効果か:PACIFIC試験
 切除不能局所進行(ステージIII)非小細胞肺がん(NSCLC)は本邦では年間約2万人が新たに罹患する。標準治療である同時化学放射線療法(CCRT)後、約9割の患者が長期的には何らかの形で進行するが、その治療法は定まっていない。「メディカルニーズの高い患者群であること、皮膚がん領域での近年の研究で、放射線療法と免疫チェックポイント阻害薬の間に相乗効果の可能性が示唆されていたことが、今回の試験につながった」と橋上氏は説明した。

 ESMO2017で発表されたPACIFIC試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS、追跡期間14.5ヵ月の中間解析結果)はdurvalumab群16.8ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月で、durvalumab群で有意な延長が認められた(HR:0.52、95%CI:0.42~0.65、p<0.0001)。橋上氏は「3倍近いPFSの延長という結果は予想を上回るもので、抗PD-L1抗体による付加的な効果というよりは、やはり何らかの相乗効果があるのではないかと考えている」と語った。

 Paz-Ares氏は、安全性プロファイルについて「全体的にdurvalumab群で有害事象がわずかに増加しているが、重度の事象については両群で同程度といえる」と述べ、「CCRT後のdurvalumabによる治療は、管理可能な安全性プロファイルを持ち、約11ヵ月PFSを延長したことで、ステージIIIのNSCLC 患者に対する治療の新たな選択肢といえる。長期フォローアップにより、全生存率(OS)への影響を見ることが重要だ」と結論付けている。

 今後について橋上氏は、「免疫療法を行う時期や期間については、本試験での条件に限らず、検討の余地がある。実臨床で患者にとってのベネフィットが最も大きな組合せ、条件を明らかにしていきたい」と語った。

脳転移に対する効果が大きな収穫:FLAURA試験
 ESMO2017で発表されたFLAURA試験の主要評価項目であるPFS中央値は、オシメルチニブ群が18.9ヵ月、標準治療群が10.2ヵ月であり、オシメルチニブ群で有意な延長が示された(HR:0.46、95%CI: 0.37~0.57、p<0.0001)。これらの改善効果は、脳転移の有無にかかわらず確認されている。また副次評価項目のうちOSについては、中間解析のハザード比が0.63(95%CI: 0.45~0.88)とオシメルチニブ群における延長傾向がみられたが、現時点では統計学的な有意差は得られていない。Ramalingam氏は、「標準治療と比較して、オシメルチニブの安全性プロファイルはより良好であり、PFS中央値を約11ヵ月延長した。オシメルチニブはEGFR変異陽性の進行NSCLC患者の新たな標準治療となるだろう」と結論付けている。

 一方、ESMO2017でディスカッサントを務めた香港・香港中文大学のTony Mok氏は、脳転移例に対する有効性は支持したものの、第1/第2世代TKIとの最適な治療の順番・組合せについては、AURA3試験ならびにFLAURA試験の最終的なOSにより判断すべきと指摘していた。Edvadsen氏は、「もちろん最終的なOSが明らかになるまで確定的なことは言えない。しかし、少なくとも第1世代TKI投与後のオシメルチニブ投与との比較については、ゲフィチニブを1次治療に使った場合に20%以上の患者で脳転移が起こること、20~30%の患者が2次治療前に亡くなってしまうことを考えれば、私は1次治療からオシメルチニブを使っていくべきだと考えている」と述べ、10月に横浜で開催される世界肺がん学会で、FLAURA試験の解析結果について続報を発表予定とした。

 また、オシメルチニブを1次治療で使った場合の耐性の獲得についてEdvadsen氏は、「オシメルチニブ耐性となった患者の20~25%に、MET遺伝子変異があることが明らかになっている。この変異に対しては、savolitinibという阻害薬の開発を進めており、将来的にはその他の変異についても阻害薬の開発を進めていく」と語った。

 最後に橋上氏は、今後発表されるOSの最終データと、日本人を含むアジア人サブグループ解析の結果を踏まえ、本邦におけるオシメルチニブの1次治療での承認申請に向けて進めていきたいとの考えを示した。


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(ケアネット 遊佐 なつみ)

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