がん診断後の禁煙、生存率への効果は?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/09/20

 

 がん患者が禁煙することで死亡率が低下するかはわかっていない。今回、英国・オックスフォード大学のConstantinos Koshiaris氏らが、喫煙関連がんの患者において禁煙と予後の関連を検討した結果、肺がんと上部気道消化管がんでは禁煙した患者は喫煙し続けた患者より死亡リスクが低いことが示された。British journal of cancer誌2017年9月12日号に掲載。

 本研究は1999~2013年の後ろ向きコホート研究で、がん診断後1年間の禁煙と全死亡率およびがん特異的死亡率との関連を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・肺がん2,882例、上部気道消化管がん757例、膀胱がん1,733例のうち、それぞれ27%、29%、21%が禁煙した。
・肺がんでは、禁煙した患者は喫煙し続けた患者に比べ、全死亡率は有意に低く(HR:0.82、95%CI:0.74~0.92)、がん特異的死亡率(HR:0.89、95%CI:0.76~1.04)とindex cancerによる死亡率(HR:0.90、95%CI:0.77~1.05)は、有意ではないものの低かった。
・上部気道消化管がんで禁煙した患者は、全死亡率(HR:0.81、95%CI:0.58~1.14)、がん特異的死亡率(HR:0.84、95%CI:0.48~1.45)、index cancerによる死亡率(HR:0.75、95%CI:0.42~1.34)とも、有意ではないが低かった。
・膀胱がんでは禁煙と死亡の関連はみられず、全死亡率のHRは1.02(95%CI:0.81~1.30)、がん特異的死亡率のHRは1.23(95%CI:0.81~1.86)、index cancerによる死亡率のHRは1.25(95%CI:0.71~2.20)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)