抗うつ薬ランキング、脳卒中後うつ病へ最良の選択肢は

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/09/20

 

 中国医薬大学のYefei Sun氏らは、脳卒中後うつ病(PSD)に対する抗うつ薬治療の有効性および忍容性(全原因による中止リスク)について、各抗うつ薬の順位比較を行った。BMJ open誌2017年8月3日号の報告。

 本検討は、無作為化比較試験のMultiple-treatmentsメタ解析で実施された。対象は、脳卒中後のうつ病患者。PSDの急性期治療において、10種類の抗うつ薬およびプラセボ投与を行った。主要アウトカムは、全うつ病スコアの平均変化として定義される全体的な有効性とした。副次的アウトカムは、全原因による中止リスクとして定義された忍容性とした。これらの推定値は、標準化平均差またはOR(95%CI)とした。

 主な結果は以下のとおり。

・12件の適格研究より、対象患者707例のデータを用いて分析を行った。
・セルトラリン、nefiracetam、fluoxetineを除く抗うつ薬は、プラセボと比較し、有意に有効であった。
・忍容性の比較については、大部分の研究で有意な差が認められなかったが、パロキセチンは、doxepin、citalopram、fluoxetineよりも全原因による中止の有意な低下が認められた。
・プラセボと比較した標準化平均差は、最も良い薬剤(reboxetine)の-6.54から最も悪い薬剤(nefiracetam)の0.51まで変化が認められた。
・プラセボと比較したORの忍容性範囲は、最も良い薬剤(パロキセチン)の0.09から最も悪い薬剤(citalopram)の3.42であった。
・有効性のランキングでは、reboxetine、パロキセチン、doxepin、デュロキセチンが最も効果的な治療薬であり、累積確率は各々、100%、85.7%、83.2%、62.4%であった。
・忍容性のランキングでは、パロキセチン、プラセボ、セルトラリン、ノルトリプチリンが最も良好な治療薬であり、累積確率は各々、92.4%、63.5%、57.3%、56.3%であった。

 著者らは「有効性と忍容性のバランスを考慮すると、PSDの急性期治療では、パロキセチンが最も良い薬剤であり、fluoxetineが最も悪い薬剤であると結論づけられた」としている。

■関連記事
うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は
家庭でのうつ病ケア、最善の選択肢は
たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

(鷹野 敦夫)