inotuzumab ozogamicin、CD22+前駆B細胞性ALLに承認/FDA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/09/12

 

 ファイザー社は2017年9月1日、inotuzumab ozogamicinが再発又は難治性の前駆B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の成人患者に対する治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)より承認を受けたことを発表した。

 今回の承認は、再発または難治性の前駆B細胞性ALL成人患者326例を対象とした第Ⅲ相INO-VATE ALL試験の結果に基づく。

 本試験は、inotuzumab ozogamicinの安全性と有効性を、治験責任医師が選択した標準化学療法と比較したランダム化非盲検国際多施設共同試験。結果、血球数の回復の有無を問わない血液学的完全寛解率(CR/CRi)は、inotuzumab ozogamicin投与群で81%(95%CI:72%~88%)、標準化学療法群で29% (95%CI:21%~39%)であった。CR/CRiを達成した患者の微小残存病変(MRD)陰性率は、inotuzumab ozogamicin投与群の78%(95%CI:68%~87%)の方が、標準化学療法群の28%(95%CI:14%~47%)より高い値となった。造血幹細胞移植(HSCT)を施行した患者の割合は、inotuzumab ozogamicin投与群で48%、標準化学療法群で22%であった。

全生存期間(OS)中央値は、inotuzumab ozogamicin投与群で7.7ヵ月(95%CI:6.0~9.2)、標準化学療法群で6.2ヵ月(95%CI:4.7~8.3)であった。本OSの結果は、予め設定した統計学的有意性の基準(HR:0.75、97.5%CI:0.57~0.99)を満たさなかった。

 致死的および生命を脅かすものを含め、inotuzumab ozogamicinによる治療を受けた患者の14%に静脈閉塞性肝疾患(VOD)が発現した。HSCT施行後の非再発死亡率も、inotuzumab ozogamicinによる治療を受けた患者(39%)の方が標準化学療法を受けた患者(23%)よりも高い値となった。inotuzumab ozogamicinに関連して最も多く(20%以上)認められた有害事象は、血小板減少症、好中球減少症、感染症、貧血、白血球減少症、疲労、出血、発熱、悪心、頭痛、発熱性好中球減少症、トランスアミナーゼ増加、腹痛、γグルタミルトランスフェラーゼ増加、高ビリルビン血症であった。

 inotuzumab ozogamicinは抗体薬物複合体(ADC)で、ほぼすべてのB細胞性ALLのがん細胞に発現する細胞表面抗原であるCD22を標的とするモノクローナル抗体および細胞傷害性化合物で構成されている。inotuzumab ozogamicinがB細胞性悪性腫瘍のCD22抗原と結合すると、細胞内に取り込まれ、細胞障害性を有するカリケアマイシンが放出されて細胞を破壊する。

■参考
ファイザー株式会社プレスリリース

■関連記事
inotuzumab ozogamicin、CD22+前駆B細胞性ALLに欧州で承認

(ケアネット 細田 雅之)