悪性黒色腫とパーキンソン病、相互に発症リスク高

提供元:ケアネット

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公開日:2017/08/01

 

 米国・メイヨークリニックのLauren A. Dalvin氏らは、ロチェスター疫学プロジェクト(Rochester Epidemiology Project:REP)のデータを解析し、悪性黒色腫(皮膚および結膜、ブドウ膜)患者はパーキンソン病(PD)の、PD患者は悪性黒色腫の発症リスクが高く、両者に関連があることを明らかにした。著者は、「さらなる研究が必要であるが、今回の結果に基づき医師は、悪性黒色腫患者にはPDのリスクについてカウンセリングを行い、PD患者に対しては皮膚および眼の悪性黒色腫についてサーベイランスを行うことを検討すべきだろう」とまとめている。Mayo Clinic Proceedings誌2017年7月号掲載の報告。

 研究グループは、REPのデータを用いて次の2つの解析(フェーズ1、フェーズ2)を行った。

 フェーズ1は、1976年1月1日~2013年12月31日におけるミネソタ州オルムステッド郡のPD患者、および同患者1例当たりのマッチング対照3例を特定し、JMP統計ソフトウェアを用いたロジスティック回帰分析により、先行して悪性黒色腫を有するリスクをPD患者と対照とで比較した。

 フェーズ2は、1976年1月1日~2014年12月31日におけるすべての悪性黒色腫患者と、同患者1例当たりのマッチング対照1例を特定し、Cox比例ハザードモデルにてインデックス日以降のPD発症リスクについて対照と比較するとともに、カプランマイヤー法によりPDの35年累積発症リスクを算出した。さらに、Cox比例ハザードモデルを用い、悪性黒色腫患者における転移性悪性黒色腫による死亡のリスクを、PDの有無で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・フェーズ1解析において、PD患者は対照と比較し、先行して悪性黒色腫を有するリスクが3.8倍高かった(95%信頼区間[CI]:2.1~6.8、p<0.001)。
・フェーズ2解析において、悪性黒色腫患者は、PDの発症リスクが4.2倍高かった(95%CI:2.0~8.8、p<0.001)。
・カプランマイヤー法によるPDの35年累積発症率は、悪性黒色腫患者11.8%、対照2.6%で、悪性黒色腫患者で高かった(p<0.001)。
・転移性悪性黒色腫による死亡の相対リスクは、PDを有していない悪性黒色腫患者が、PDを有する悪性黒色腫患者と比較して10.5倍高かった(95%CI:1.5~72.2、p=0.02)。

(ケアネット)