【JSMO2017見どころ】AYA世代のがん治療

提供元:ケアネット

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公開日:2017/07/20

 

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。

 このうち、「AYA世代のがん治療」については嶋田 明氏(岡山大学病院 小児血液・腫瘍科 准教授)が登壇した。以下、嶋田氏のコメントと注目演題を紹介する。

【嶋田 明氏コメント】
 Adolescent and Young Adult(AYA)世代とは、15~30歳前後(欧米では15~39歳の定義もある)の高校生・大学生・若年成人を含み、AYA世代のがん治療は、成人がん、小児がんとは異なった問題点が存在する。たとえば、小児に多いがん(白血病、脳腫瘍、骨軟部腫瘍など)と成人に多いがん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんなど)が混在してみられ、国内では毎年5,000人ときわめて稀ではあるが、就学、就職、結婚、出産などのライフイベントが集中する時期に起こるため、社会的問題も多くみられる。また5年生存率が、ほかの世代に比べて低く、最適で効果の高い治療方針は十分に確立しているといえない状況である。

 小児慢性特定疾患などの公的な補助制度は最長20歳までであり、40歳以上が給付対象となる介護保険からも外れており、社会的支援が乏しいこと、診療科が小児科、血液内科、脳神経外科、乳腺内分泌科、整形外科、放射線科など多科にまたがり、患者さんも多病院、多病棟に分散している。国内では、AYA病棟の取り組みはまだ数えるほどしかない。こうした流れを踏まえて、国の第3期がん対策推進基本計画に小児・AYA世代のがん、希少がん対策が盛り込まれた。

 そこで今年度のJSMOでは、主に高校生・大学生のがん患者について取り上げることとし、2つのシンポジウムを企画した。シンポジウム8においては、「AYA 世代がんの治療の現状と展望」と題して6名の演者に各種がんの治療の現況を、シンポジウム18においては、「AYA 世代がん患者の治療・療養支援を考える」と題して、同じく6名の演者にAYA 世代のがん診療の現状と課題、療養環境、教育問題、就労問題など、この世代のがん患者が抱える種々の問題点について発表いただく予定である。

【注目演題】

シンポジウム 8
「AYA 世代がんの治療の現状と展望」
日時:7月27日(木)9:00~11:00
場所:Room 13(神戸国際会議場5F 501会議室)

シンポジウム 18
「AYA 世代がん患者の治療・療養支援を考える」
日時:7月28日(金)8:20~10:20 
場所:Room 14(神戸国際会議場5F 502会議室)

【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】
■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)
■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)
■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)
■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —

第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

(ケアネット 遊佐 なつみ)