薬剤溶出ステント留置後のDAPT、6ヵ月 vs. 24ヵ月

提供元:ケアネット

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公開日:2017/07/20

 

 2015年に発表されたITALIC(Is There a Life for DES After Discontinuation of Clopidogrel)試験では、第2世代薬剤溶出ステントを用いた冠動脈形成術後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)で、6ヵ月のDAPTを24ヵ月のDAPTと比較し、1年目の時点で出血と血栓症の発生率が同等であることが示された。ITALIC試験の最終結果となる今回は、6ヵ月DAPTの24ヵ月に対する非劣性を検証することを目的に、24ヵ月DAPTのフォローアップ結果がフランス・ブレスト大学のGilard氏らより報告された。Journal of the American College of Cardiology誌2017年6月26日号に掲載。

主要評価項目は、死亡、心筋梗塞、標的病変の緊急再灌流療法、脳梗塞、重篤な出血の複合
 本研究は多施設無作為化比較試験で、第2世代薬剤溶出ステントの植込みを受けたアスピリン抵抗性を示さない患者を、70施設から2,031例をスクリーニングし、6ヵ月(926例)もしくは24ヵ月(924例)のDAPTに割り付けた。主要評価項目は、12ヵ月の時点における死亡、心筋梗塞、標的病変の緊急再灌流療法、脳梗塞、重篤な出血の複合であった。副次評価項目は、24ヵ月の時点における同一の複合評価項目と各項目の結果であった。

24ヵ月のフォローアップでも6ヵ月DAPTは24ヵ月DAPTに対し非劣性
 6ヵ月と12ヵ月のDAPTを比べたところ、6ヵ月DAPTは24ヵ月DAPTに対し非劣性で、絶対リスク差は0.11%(95%信頼区間[CI]:−1.04%~1.26%、p=0.0002)であった。 24ヵ月の時点で、複合評価項目に変化はなく、6ヵ月群で3.5%、24ヵ月群で3.7%(p=0.79)、心筋梗塞(1.3% vs.1.0%、p=0.51)、脳卒中(0.6% vs.0.8%、p=0.77)、標的血管の緊急再灌流 (1.0% vs.0.3%、p=0.09)は、いずれも同等の結果であった。死亡率については、24ヵ月群で高い傾向にあった(2.2% vs.1.2%、p=0.11)。重篤な出血の発生は、24ヵ月群の4例に対して、6ヵ月群では1例も発生しなかった。ITALIC試験の24ヵ月時点における結果は、12ヵ月時点の結果を確認し、第2世代の薬剤溶出ステント留置後6ヵ月のDAPTが24ヵ月のDAPTと同様の成績を示すことが示された。

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