太っていないNAFLD患者で心血管リスク高い

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/06/22

 

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は心血管疾患(CVD)発症のリスク因子として知られている。NAFLDの約20%は非肥満者に発症するが、過体重でないNAFLD患者とCVD発症リスクとの関連はまだ解明されていない。今回、京都府立医科大学の橋本 善隆氏らが、わが国のコホート研究の事後解析で調査したところ、過体重でないNAFLD患者でCVD発症リスクが高いことが示された。著者らは、さらなるCVDイベントを防ぐために、過体重でなくともNAFLDに注意を払うべきとしている。Medicine誌2017年5月号に掲載。

 本研究は、日本人1,647人の前向きコホート研究の事後解析である。腹部超音波検査を用いてNAFLDを診断した。過体重はBMI≧23と定義し、参加者をNAFLDおよび過体重がどうかによって4つの表現型に分類した。これらの表現型におけるCVD発症のハザードリスクを、ベースライン時の年齢、性別、喫煙状況、運動、高血圧、高血糖、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロールについて調整後、Cox比例ハザードモデルにて算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・CVD発症率は、NAFLDでも過体重でもない人で0.6%、NAFLDだが過体重ではない人で8.8%、NAFLDではないが過体重の人で1.8%、NAFLDかつ過体重の人で3.3%であった。

・NAFLDでも過体重でもない人と比較したCVD発症の調整ハザード比は、NAFLDだが過体重ではない人で10.4(95%信頼区間:2.61~44.0、p=0.001)、NAFLDではないが過体重の人で1.96(同:0.54~7.88、p=0.31)、NAFLDかつ過体重の人で3.14(同:0.84~13.2、p=0.09)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)