CDC「手術部位感染予防のためのガイドライン」18年ぶりの改訂

提供元:ケアネット

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公開日:2017/05/23

 

 米国疾病管理予防センター(CDC)は、「手術部位感染予防のためのガイドライン」を1999年以来18年ぶりに改訂し、エビデンスに基づく勧告を発表した。手術部位感染治療のための人的および財政的負担の増加を背景に、専門家の意見を基に作成された1999年版から、エビデンスベースの新たなガイドラインに改訂された。著者らは「これらの勧告に基づく手術戦略を用いることで、手術部位感染のおよそ半分が予防可能と推定される」と記している。

手術部位感染予防のためのガイドラインはコアセクションと人工関節置換術セクションで構成

 CDCの医療感染管理諮問委員会(HICPAC)は、1998年から2014年4月の間に発表された論文を対象にシステマティックレビューを実施し、5,000超の関連論文を特定。さらにスクリーニングを行った結果、170の論文を抽出し、エビデンスを評価・分類した。

 新しい手術部位感染予防のためのガイドラインは、外科手術全般の手術部位感染予防のための勧告(30件)を含む「コアセクション」と人工関節置換術に適用される勧告(12件)を含む「人工関節置換術セクション」によって構成されている。

 改訂された手術部位感染予防のためのガイドラインで更新された勧告の中で主なものは以下のとおり。

・手術前、少なくとも手術前夜には、患者は石けん(抗菌性もしくは非抗菌性)または消毒薬を用いたシャワーや入浴(全身)をすべきである。
・予防抗菌薬は、公開されている臨床実践ガイドラインに基づいた適用のときのみに投与する。そして、切開が行われるときに、血清および組織における抗菌薬の殺菌濃度が確保されるタイミングで投与する。
・帝王切開においては、皮膚切開の前に適切な予防抗菌薬を投与する。
・術前の皮膚処置は、禁忌の場合を除き、アルコール系消毒薬を使用して行う。
・清潔および準清潔手術では、手術室内で閉創した後はドレーンが留置されていても、予防抗菌薬を追加投与しない。
・手術部位感染予防のために、外科切開部に抗菌薬の局所的な適用は行わない。
・周術期の血糖コントロールを実施し、すべての患者で血糖の目標レベルを200mg/dL未満として、正常体温を維持する。
・全身麻酔を受けており気管内挿管がある正常な肺機能を有する患者では、手術中および手術直後の抜管後に、吸入酸素濃度を増加させる。
・手術部位感染予防のために、手術患者への必要な血液製剤の輸血を控える必要はない。
 新しい手術部位感染予防のためのガイドラインはJAMA surgeryオンライン版2017年5月3日号に掲載された。

(ケアネット 遊佐 なつみ)