欧米化された食事でも死亡リスクは低下?~JPHC研究

提供元:ケアネット

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公開日:2017/05/11

 

 JPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study、主任研究者:津金昌一郎氏)において、日本人の食事パターンと全死因、がん、心血管疾患による死亡との関連を調査した結果、健康的な食事パターンと欧米化された食事パターンでは、全死因および心血管疾患の死亡リスクが低いことが示唆された。欧米化された食事パターンでの結果はこれまでの報告と矛盾するが、研究グループでは塩の摂取が少ないことや飽和脂肪酸の高摂取による寄与の可能性を考察している。PLOS ONE誌2017年4月26日号に掲載。

 対象は、JPHC研究の2次調査(1995~98年)に参加し、重大な疾患の既往歴のない45~74歳の男性3万6,737人と女性4万4,983人。食事パターンは、食事摂取頻度調査票によって確認された134品目の食品および飲料の摂取量から抽出した。また、2次調査から2012年までの死亡のハザード比は、cox比例ハザード回帰分析を用いて推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・健康的な食事パターン(野菜、果物、大豆製品、いも類、海藻類、きのこ類、魚の摂取量が多い)は、塩の摂取が多いにもかかわらず、全死因および心血管疾患による死亡の低下と有意に関連していた。

・健康的な食事パターンスコアの最低四分位に対する、最高四分位での死亡の多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は、全死因死亡が0.82(0.77~0.86)、心血管疾患による死亡が0.72(0.64~0.79)であった(どちらも、傾向のp<0.001)。

・欧米化された食事パターン(肉類、加工肉、パン、乳製品、コーヒー、紅茶、ソフトドリンク、ドレッシング、ソース、マヨネーズの摂取量が多いが、塩の摂取量が少ない)も、全死因、がん、心臓血管疾患による死亡リスクと逆相関していた。

・伝統的な日本の食事パターン(ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物などの摂取量が多い)は、これらのリスクと関連していなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)