冠動脈疾患と脳卒中では、喫煙や糖尿病の影響が異なる~JACCスタディ

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/28

 

 冠動脈疾患(CHD)と脳卒中には共通のリスク因子があるが、CHDと脳卒中との関連の大きさや向きが異なる因子がある。藤田保健衛生大学の松永 眞章氏らは、アジア人におけるCHDと脳卒中による死亡において、各リスク因子による影響が異なるかどうかを、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、高血圧との関連は一致したが、喫煙や糖尿病など他のリスク因子については一致しなかった。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月6日号に掲載。

 本研究は、ベースライン時にがん、CHD、脳卒中の既往がない40~79歳の10万4,910人について、1988~2009年に追跡調査した。競合リスク分析を用いて、各リスク因子と2つのエンドポイント(CHDと脳卒中)との関連の違いを調べた。また、各リスク因子の集団での影響を推定するために、これらのエンドポイントにおける人口寄与割合も計算した。

 主な結果は以下のとおり。

・中央値19.1年間の追跡期間中、CHDにより1,554人が死亡し、脳卒中により3,163人が死亡した。

・高血圧とCHDとの関連性は、大きさ・向きとも脳卒中と類似していた(多変量調整ハザード比におけるCHD vs.脳卒中:男性 1.63 vs.1.73、女性 1.70 vs.1.66)。

・これらの関連の大きさは、喫煙(同:男性 1.95 vs.1.23、女性2.45 vs.1.35)および糖尿病(同:男性 1.49 vs.1.09、女性 2.08 vs.1.39)では異なっていた。

・人口寄与割合は、CHDにおいては男性では喫煙、女性では高血圧が最も高く、脳卒中においては男女とも高血圧が最も高かった。

(ケアネット 金沢 浩子)