硝子体黄斑癒着は、加齢黄斑変性の原因ではなく結果?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/08

 

 硝子体黄斑癒着(VMA)が、滲出型加齢黄斑変性(AMD)や脈絡膜新生血管(CNV)形成と関連しているのかを検討した、イタリア・Sacrocuore HospitalのEmilia Maggio氏らによる後ろ向き横断的研究ならびに縦断的コホート研究の結果、VMAの頻度はAMD眼と非AMD眼とで差はなく、CNVの新規発生頻度もVMAの有無で差はないことが示された。ただし、滲出型AMD眼では、経過中にVMAの自然解離が起こることは少なかった。著者は、「VMAは、CNVの発生原因というよりもむしろ結果であるかもしれない」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年2月14日号掲載の報告。

 研究グループは、滲出型AMDと診断された未治療の連続症例におけるVMAの頻度を、非滲出型AMDおよび年齢をマッチさせたAMDのない対照と比較検討するとともに、硝子体黄斑界面の経時的変化がCNVの発生に及ぼす影響を前向きに評価する目的で、後ろ向き横断的研究と縦断的コホート研究を行った。

 対象は、2008年8月~2015年6月の間に、Sacrocuore Hospitalで診察され選択基準を満たした合計1,067眼。内訳は、滲出型AMDが364例403眼(平均年齢[±SD]:77.8±8.0歳)、非滲出型AMDが298例350眼(78.1±8.2歳)、対照(非AMD)が214例314眼(74.2±8.2歳)であった。

 硝子体黄斑界面の状態は、スペクトラルドメイン光干渉断層計(OCT)を用い、2人の研究者がそれぞれ盲検下でInternational Vitreomacular Traction StudyグループによるOCTに基づいた国際分類システムに従ってグレード分類した。

 主な結果は以下のとおり。

・VMAの頻度は、滲出型AMDで101眼(25.1%)、非滲出型AMDで84眼(24.0%)、対照で84眼(26.8%)であり、統計学的な有意差はなかった(p=0.3384)。
・VMAの自然解離は、滲出型AMD、非滲出型AMDおよび対照でそれぞれ平均追跡期間25.5、25.9、24.1ヵ月において、15眼(15.3%)、21眼(28.0%)、10眼(24.4%)に認められた。
・滲出型AMD眼におけるVMAの自然解離の発生は、非滲出型AMD眼に比べ有意に低かったが(p=0.0207)、対照との比較では差はなかった(p=0.1013)。
・非滲出型AMD眼において、CNVの新規発生は91眼(30.6%)にみられた。
・VMAの有無でCNVの発生率に有意差はなかった(p=0.0966)。

(ケアネット)