エンパグリフロジンの心血管イベント減少アジア人でも

提供元:ケアネット

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公開日:2017/02/08

 

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)と日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:パトリック・ジョンソン)は2017年2月2日、エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)によるEMPA-REG OUTCOME試験のアジア人サブグループ解析の結果が、1月25日Circulation Journalに掲載されたと発表した。

 エンパグリフロジンはSGLT2に対して高い選択性を有するSGLT2阻害薬。EMPA-REG OUTCOME試験では、2型糖尿病患者において、標準治療にエンパグリフロジンを上乗せ投与した結果、複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクを14%、心血管死リスクを38%、全死亡のリスクを32%いずれも有意に減少させた。

 一方で、2型糖尿病の有病率、心血管イベントリスクの人種差を鑑み、EMPA-REG OUTCOME試験に参加したアジア人2型糖尿病患者1,517例(全体集団の22%)における心血管アウトカムの解析が行われた。

 アジア人集団における複合心血管イベント(心血管死・非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)に関して、エンパグリフロジン投与群は、プラセボ投与群に比べ、複合心血管イベントのリスクを32%減少させた(HR:0.68、95%CI:0.48~0.95)。また、エンパグリフロジン投与群は、心血管死のリスクを56%(HR:0.44、95%CI:0.25~0.78)、全死亡リスクを36%減少させた(HR:0.64、95%CI:0.40~1.01)。また、東アジア地域(日本、香港、台湾、韓国)から参加した587例の解析においても、エンパグリフロジンによる心血管アウトカムの結果は、全体集団の結果と一貫していた。

 アジア人集団における有害事象の割合は、プラセボ投与群で26.6%(136/511例)、エンパグリフロジン10mg群で27.1%(137/505例)、25mg群で28.5%(143/501例)に認められた。

 米国食品医薬品局(FDA)は2016年12月2日、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者に対する心血管死のリスク減少に関するエンパグリフロジンの新たな適応を承認した。欧州では、2016年12月16日に医薬品評価委員会(CHMP)が採択したエンパグリフロジンの心血管死のリスク減少に対する肯定的見解に基づき、2017年1月19日に欧州委員会(EC)が、エンパグリフロジンの心血管死のリスク減少に関するデータを含む添付文書の改訂を承認した。なお、日本におけるエンパグリフロジンの効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントのリスク減少に関連する効能・効果の適応は取得していない。

(ケアネット 細田 雅之)

参考論文

Kaku K, et al. Circ J. 2017; 81: 227-234.