重症下肢虚血に対する足首以下への血行再建の効果は?

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 重症下肢虚血(CLI)は予後は悪く、保存的療法後1年の大切断は73~95%という報告がある。CLIの救肢において、バイパス手術および血管内治療(EVT)による動脈血行再建は重要である。バイパス手術は、救肢率、創傷治癒率共に高いものの、その侵襲性から適応となる患者は多くない。そのような中、侵襲性の低さとバイパス手術に匹敵する救肢率からEVTが注目され始めている。一方、CLIでは足首以下の病変の合併が多く、この足首以下の病変の存在は、創傷治癒率を低下させ、創傷治癒遅延(DH)をもたらすことが明らかになっている。EVTによる足首以下の病変への補助的な血行再建(PAA)は、創傷治癒を改善させる可能性があり、有効性を示す単施設の研究も報告されている。しかしながら、EVTの創傷治癒率は高いとはいえない。そこで、多施設によるPAAの効果を評価するため、RENDEZVOUS(Retrospective Analysis for the Clinical Impact of Pedal Artery Revascularization Strategy for Patients With Critical Limb Ischemia) レジストリ研究が宮崎市郡医師会病院 仲間達也氏らにより行われ、JACC Cardiovascular Interventions誌で報告された。

 RENDEZVOUSレジストリでは、国内の経験豊富な循環器センター5施設でEVTを施行した、膝下動脈と足首以下に病変を有する新規CLI患者257例(257肢)が、PAA施行群140例と非施行群117例の2群に分類され、後ろ向きに評価された。主要評価項目は、1年後の創傷治癒率と創傷治癒までの時間。副次的有効性評価項目は、救肢率、大切断回避生存率、再血行再建回避率。副次的安全性評価項目は、PAA成功率、手技関連合併症であった。また、創傷治癒遅延の独立危険因子を多変量解析で求め、危険因子の数から創傷治癒遅延スコア(DHスコア)を規定。DHスコア(危険因子数)0を低リスク、DHスコア1~2を中等度リスク、DHスコア3を高リスクに層別化し、各リスク群でのPAAによる1年後の創傷治癒率を評価した。PAA追加の基本的な適応は、1)標的血管血行再建後の血流が確認されない、2)足動脈のランオフ不良によるimpaired flow現象、3)広範囲な創傷、救肢と創傷治癒のために大量の血液供給が必要になる感染、とした。

 主な結果は以下のとおり。

・患者の平均年齢は73.2歳、男性が68.1%、51.4%が自立歩行不能、62.3%が透析患者、77.8%の患肢がRutherford分類5であった。
・全体の救肢率は88.5%、大切断回避生存率は73.5%、創傷治癒率は49.5%であった。
・主要評価項目である創傷治癒率は、PAA群57.5%、非PAA群37.3%とPAA群で有意に高かった(p=0.003)。
・同じく主要評価項目の創傷治癒までの時間は、PAA群211日、非PAA群365日とPAA群で有意に短かった(p=0.008)。
・副次的安全性評価項目であるPAA手技の成功率は88.6%、手技関連合併症は17例(6.6%)。PAA群と非PAA群で差はみられなかった。
・副次的有効性評価項目はいずれも両群間で差はみられなかった。
・DHの危険因子は、歩行不能、創傷の深さ(UTグレード2以下)、透析であった。
・低リスク群の創傷治癒率は、PAA群93.3%、非PAA群69.2%とPAA群で高かったが、統計学的有意には至らなかった(p=0.184)。
・中等度リスク群の創傷治癒率は、PAA群59.3%、非PAA群33.9%とPAA群で有意に高かった(p=0.001)。
・高リスク群の創傷治癒率は、PAA群29.4%、非PAA群35.7%と、PAAによる創傷治癒への影響はみられなかった(p=0.477)。

 PAAによる介入は、救肢率や大切断回避生存率、再血行再建回避率には影響を及ぼさなかったものの、創傷治癒に関連するアウトカムには重要な影響を及ぼした。また、PAAの介入は、創傷治癒遅延中等度リスク群でとくに有効であった。当研究は後ろ向き非無作為化研究であったが、今後はさらに前向きの無作為化研究の実施が望まれる。

(ケアネット 細田 雅之)

原著および論説はこちら

Nakama T, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2017;10:79-90.
Mustapha JA,et al. JACC Cardiovasc Interv. 2017;10:91-93.

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