魚アレルギーの人は鶏肉にも十分な注意が必要

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/07/18

 

 魚は、最もアレルギーを起こす食べ物の1つであり、その特徴として、異なる魚間でも臨床的に交差反応を示す可能性が高いことが広く知られている。一方で他の食物アレルギーとの関連は十分わかっていない。ルクセンブルク保健研究所のAnnette Kuehn氏らは、魚と鶏肉が交差反応を起こしうることを明らかにした。魚アレルギーおよび鶏肉アレルギーの患者は、それぞれ鶏肉または魚にも食物アレルギーを呈するリスクを有している恐れがあるという。著者は、「この臨床的な現象は、パルブアルブミン、エノラーゼおよびアルドラーゼに交差反応性のあるアレルゲンによる『魚-鶏肉症候群』と呼ぶことを提唱する」と報告している。Allergy誌オンライン版2016年6月27日号の掲載報告。

 研究グループは、鶏卵への感作を伴わずに鶏肉に対するアレルギーを有する患者において、魚と鶏肉との臨床的な交差反応の関連を調べた。

 対象は、魚と鶏肉(29例)または鶏肉だけ(7例)に対する食物アレルギー患者であった。IgE反応性の鶏肉タンパク質をエドマン法、MS分析法で同定し、ELISAで定量化した後、IgE-ELISAと皮膚試験でアレルゲンとして用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・鶏肉パルブアルブミンならびに2つの新しいアレルゲン(アルドラーゼおよびエノラーゼ)が、それぞれ12kDa、40kDaと50kDaで同定された。
・それらは、全患者血清のそれぞれ61%、75%と83%のsIgEで認識された。
・魚類ホモログに陽性を示す症例の血清でも同様に多数を占めた。
・魚と鶏肉のアレルゲンは、高度に交差反応を起こした。一方、魚または鶏肉のアレルゲンに対する高い阻害率は、魚または鶏肉への患者の最初の感作と相関した。
・煮るか焼いた場合、鶏もも肉と鶏手羽肉でパルブアルブミンが、鶏むね肉でエノラーゼとアルドラーゼが検出可能であった。

(ケアネット)