持続性AFへのアブレーション、標準法に軍配

提供元:ケアネット

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公開日:2016/05/27

 

 持続性心房細動(AF)に対するアブレーションの成績は発作性AFと比べて劣る。近年、AFがローター(rotor:旋回)と呼ばれる渦巻きによって維持されるという理論に基づき、そのローターの部位を特定し焼灼するFIRM(focal impulse and rotor modulation)ガイド下アブレーションが注目されているが、最近その有効性を疑問視する報告が相次いでいる。今回、持続性AFに対してFIRMアブレーションと肺静脈隔離術や従来の標準的アブレーションとを比較した前向き無作為化試験の結果が、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2016年4月28日号に掲載された。

FIRMアブレーション vs. FIRM+肺静脈隔離 vs. 肺静脈隔離+後壁+トリガーアブレーション
 米国とドイツの3施設で持続性または長期持続性AF患者113例をFIRMアブレーション(グループ1)、FIRMアブレーションと肺静脈隔離(グループ2)、そして肺静脈隔離、後壁に加えて肺静脈以外のトリガーとなる心房頻拍や心房性期外収縮をターゲットとしたアブレーション(グループ3、一般的に広く行われている方法)に1:1:1に無作為に振り分けた。主要評価項目はAFおよび心房頻拍の再発の抑制。

FIRMアブレーション実施の2群、手技時間が有意に長く再発率も有意に高い
 グループ1~3の手技時間はそれぞれ222±49分、233±48分、131±51分であり、FIRMアブレーションを実施した2群の手技時間がグループ3より有意に長かった(p<0.001)。
 FIRMアブレーションを使用したグループ1と2でのrotorのみ焼灼後の心房細動の停止は、それぞれ12例(41%)と11例(26%)に認められた。追跡期間(中央値12±7ヵ月)中、AFおよび心房頻拍の再発が認められなかったのは、それぞれ4例(14%)、22例(52.4%)、32例(76%)であり、一般的に広く行われている手法のグループ3がFIRMアブレーションを使用した2群よりも有意に優れていた。

当初の報告よりも悪い結果
 FIRMアブレーション使用群での洞調律の維持率(グループ1:14%、グループ2:52.4%)は、当初報告されたFIRMアブレーションの成績(80~82%)に比べてもかなり低いものであった。今回の試験では、一般的に広く行われている肺静脈隔離+後壁、トリガーアブレーションが最も有効であったと結論付けている。

(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)

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