C型肝炎IFNフリー治療薬の費用対効果とは?HTA試行導入前に考える

提供元:ケアネット

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公開日:2016/02/11

 

 英国、オーストラリアなどで公的医療保険の給付の可否の判断に使用されている医療技術評価(HTA)が2016年4月より日本で試行導入される。これに先立ち、アッヴィ合同会社は、2月4日にC型肝炎インターフェロンフリー治療薬の費用対効果に関するプレスセミナーを都内で開催した。

 1月に中医協が示した選定基準によると、C型肝炎治療薬のソバルディ(一般名:ソホスブビル)やその類似薬が日本版HTAの対象になる見込みだ。この日本版HTAにおいて、効果指標には、質調整生存年(QALY)が基本的に用いられることとなる。

 講師を務めた東京大学大学院 薬学系研究科 特任准教授・五十嵐 中氏の最新の研究結果(論文投稿準備中)によると、非肝硬変における、C型肝炎無治療群とC型肝炎治療薬のヴィキラックス(一般名:オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)使用群との費用対効果の比較では、ヴィキラックス使用群のほうがより安く、効果があるといえるとのことだ。そしてこのように高価な薬において、“安くてよく効く”という結果になることはまれであることを付け加えた。

 また、各国のHTAにおいても、C型肝炎インターフェロンフリー治療薬は価格に見合った効果があるという評価がされているという。一方で、HTAでは、医療予算全体へのインパクトは測れないため、総合的な評価も重要であると述べた。

 2015年に実施された医師対象の調査では、肝臓専門医の約半数が、QALY、ICERなどの医療経済用語を知っており、肝臓専門医、消化器専門医の約7割が、C型肝炎治療薬処方の際の重要な判断項目の1つとして取り入れている/取り入れたいと考えているという状況を紹介した。これを受けて同氏は、昨今、医療系の学会においても、医療経済がテーマとして取り上げられていることがしばしばあり、関心の高まりは喜ばしいことだが、費用のみの比較が中心であることが多いため、そこに効果の視点を加え評価するという費用対効果の考えを、ぜひより多くの現場の医療者に知ってほしいと訴えた。

 日本版HTAは4月の試行導入後、企業や大学による分析を経て、総合評価の結果が2018年以降の薬価に反映される予定だ。

(ケアネット 後町 陽子)