高血圧への肥満の影響、30年で著しく増加

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/07/28

 

 わが国ではこの数十年にわたって、過体重者(BMI:25.0~29.9)と肥満者(同:30.0以上)の割合が増加している。福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター 永井 雅人氏らは、1980~2010年における4つの全国調査を用い、過体重および肥満の高血圧症への影響の経年動向を調べた結果、その影響は有意に増加したことが示された。過体重者および肥満者が増加しないよう、早急に対処する必要性を示唆している。Hypertension Research誌オンライン版2015年7月16日号に掲載。

 著者らは、参加者を全集団から無作為にサンプリングした4つの全国調査を用いて、高血圧症(血圧140/90mmHg以上もしくは降圧薬使用)に対する過体重や肥満の影響の経年動向を調査した。各々の調査に選択された参加者(30~79歳)は、1980年10,370人、1990年8,005人、2000年5,327人、2010年2,547人。

 主な結果は以下のとおり。

・高血圧症に対する過体重および肥満の影響は有意に増加していた(男性:p=0.040、女性:p=0.006)。
・過体重者および肥満者について、正常体重者(BMI:18.5~24.9)と比較した高血圧症のオッズ比(多変量調整後)の変化は、1980年から2010年において、男性では1.94(95%信頼区間:1.64~2.28)から2.82(同:2.07~3.83)、女性では2.37(同:2.05~2.73)から3.48(同:2.57~4.72)へと増加していた。
・日本人では肥満者は3%のみであり、ほとんどの関連は過体重者でみられた。
・高いBMIが、他の有害な健康状態との関係に加え、高血圧症との関連性が増加していることから、体重コントロールに対する取り組みの緊急性が高まっている。

(ケアネット 金沢 浩子)