緑茶で死亡リスクが減る疾患~日本での大規模コホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2015/04/30

 

 日本における大規模集団コホート研究において、緑茶の摂取が全死因および3つの主な死因の死亡リスクを減らす可能性が示唆された。わが国のJPHC Studyにおいて、緑茶の摂取量と原因別死亡率(全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷、その他)との関連を調査した結果が、Annals of epidemiology誌オンライン版2015年3月25日号に掲載された。

 JPHC Studyは「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(主任研究者:国立がん研究センター 津金 昌一郎氏)において、全国11保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などとの共同研究として行われている。

 本研究で、1990~1994年に40~69歳だった日本人男女9万914人をフォローアップしたところ、18.7年の追跡期間中に1万2,874人が死亡した。緑茶摂取量と全死因および主な死因による死亡リスクとの関連について、潜在的交絡因子の調整後、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・男性における全死因死亡のハザード比は、緑茶を1日1杯未満しか飲まない人と比較して、1~2杯飲む人では0.96(0.89~1.03)、3~4杯飲む人では0.88(0.82~0.95)、5杯以上飲む人では0.87(0.81~0.94)であった(傾向のp<0.001)。また、女性におけるハザード比は、順に0.90(0.81~1.00)、0.87(0.79~0.96)、0.83(0.75~0.91)であった(傾向のp<0.001)。

・緑茶摂取は、男女両方における心疾患による死亡率、男性における脳血管疾患および呼吸器疾患による死亡率と逆相関していた。

・緑茶摂取と全がん死亡率との間には関連が認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)