日本人、レベチラセタム静注の薬物動態

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公開日:2014/11/03

 

 2014年7月に本邦で承認されたレベチラセタムの静注製剤は、日本を除く世界の実臨床で数年にわたり使用されている。ベルギー・UCB Pharma社のNathalie Toublanc氏らは、日本人健康成人ボランティアにおいて、レベチラセタムの静注製剤と経口製剤の生物学的同等性を評価するとともに、日本人vs. 白人のレベチラセタム静注製剤の薬物動態を検討した。その結果、日本人健康成人においてレベチラセタム1,500mgの、単回静脈内投与と単回経口投与の生物学的同等性は示されなかった。また、レベチラセタム1,500mgの単回および反復静脈内投与後の薬物動態プロファイルについて、日本人と白人でおおむね類似していることを報告した。European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics誌オンライン版2014年10月5日号の掲載報告。

 Study AとStudy Bの、2件のオープンラベル試験が実施された。それぞれの試験概要および主な結果は以下のとおりであった。

【Study A】
[試験概要]
・日本人健康成人ボランティアにおける静注製剤と経口錠剤の、生物学的同等性を評価するため無作為化two-wayクロスオーバーデザインにより実施。
・レベチラセタムの投与方法は、1,500mgを15分かけて単回静脈内投与、500mg錠を3錠経口投与であった。
[主な結果]
・27例中26例が試験を完了した。
・幾何最小二乗平均(LSM)比(静注vs 経口)の推定値(90%信頼区間[CI])は、AUClastは0.97(0.95~0.99)であり、血漿濃度-時間曲線下面積の0~lastにおいて生物学的同等の範囲内(0.85~1.25)にあった。ただし、最大血漿中濃度(Cmax)は1.64(1.47~1.83)であり、生物学的同等の範囲外であった。
・レベチラセタムの忍容性は良好であった。
・Study Aでは、日本人健康成人において、レベチラセタム1,500mgの単回静脈内投与と単回経口投与の生物学的同等性は示されなかった。

【Study B】
[試験概要]
・日本人健康成人と白人ボランティアにおけるレベチラセタム静注製剤の薬物動態を比較。
・レベチラセタムの投与方法は、1,500mgを15分かけて単回および反復静脈内投与。
[主な結果]
・32例全例(日本人16例、白人16例)が試験を完了した。
・単回静脈内投与後の幾何LSM比の推定値(90%CI)(日本人vs白人)は、体重標準化Cmaxが1.21(1.07~1.36)、AUClastは0.97(0.90~1.04)であった。
・反復静脈内投与後の対応値は、Cmax, ssが1.01(0.91~1.12)、AUCT,SSが0.89(0.83~0.96)であった。
・レベチラセタムの忍容性は良好であった。
・Study Bでは、レベチラセタム1,500mgの単回および反復静脈内投与後の薬物動態プロファイルは、日本人成人と白人成人でおおむね類似していることが示された。

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(ケアネット)