バイアグラ使用者でメラノーマ発症リスクが約2倍に

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/29

 

 シルデナフィル(商品名:バイアグラ)使用と、メラノーマ発症リスクが関連している可能性が、米国・ブラウン大学のWen-Qing Li氏らが行った、米国男性2万5,848例を対象とした前向きコホート研究によって報告された。過去10年間のメラノーマや基底細胞がん(BCC)、有棘細胞がん(SCC)を調べた結果、ベースライン時にシルデナフィル使用者のメラノーマリスクは1.84倍高いことが判明したという。結果について著者は、臨床勧告を変更するには不十分だが、本関連調査を継続していく必要性を支持するものであったとまとめている。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2014年4月7日号の掲載報告。

 シルデナフィルは、PDE 5A阻害薬の性機能障害治療薬である。一方、最近の研究において、BRAF活性がPDE 5A値を低下させ、BRAF活性によるPDE 5A低値あるいはシルデナフィル使用がメラノーマ細胞の侵襲を増大することが示唆され、シルデナフィルがメラノーマリスクに有害な影響をもたらす可能性が持ち上がっていた。

 そこで研究グループは、米国男性において、シルデナフィル使用とメラノーマリスクとの関連を調べる前向きコホート研究を行った。対象は、2000年に「医療従事者追跡研究」に参加した人で、性機能障害とシルデナフィル使用について質問を受けていた人とした。ベースライン時にがんであることを申告した人は除外された。

 2年ごとに行われたアンケート調査で、皮膚がん(メラノーマ、SCC、BCC)を申告した人を特定し、メラノーマとSCCについては病理学的診断を確認し評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・分析には、2万5,848例が含まれた。
・2000~2010年の追跡期間中に、メラノーマ142例、SCC 580例、BCC 3,030例を発生していた。
・ベースライン時にシルデナフィルを使用していた人は、その後のメラノーマリスクが有意に増大していた。多変量補正ハザード比(HR)は1.84(95%信頼区間[CI]:1.04~3.22)であった。
・対照的に、SCCのHRは0.84(同:0.59~1.20)、BCCは1.08(同:0.93~1.25)でリスクの増大は観察されなかった。さらに、性機能障害は、メラノーマリスクの変化と関連していなかった。
・また、これまでにシルデナフィルを使用したことがある人でも、メラノーマリスクの上昇がみられた(HR:1.92、95%CI:1.14~3.22)。
・ベースライン時に重大慢性疾患を報告した人を除外した2次解析においても、同様の所見がみられた。すなわち、ベースライン時シルデナフィル使用者のメラノーマリスクは2.24(95%CI:1.05~4.78)、使用歴ありの人は同2.77(同:1.32~5.85)であった。

(ケアネット)