前立腺がんへのアンドロゲン除去療法での副作用、運動で改善できるか

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/12/25

 

 前立腺がんへのアンドロゲン除去療法は広く施行されているが、その有害事象により健康やQOLが損なわれることがある。これらの治療関連有害事象を改善するための方法として運動が提案されている。オーストラリア・ディーキン大学のJason R. Gardner氏らは、アンドロゲン除去療法を受けている前立腺がん患者の治療関連有害事象に対する運動の効果に関する論文の系統的レビューを行った。その結果、アンドロゲン除去療法を受けた前立腺がん患者において、適切に処方された運動は安全であり、治療誘発性の有害事象を改善する可能性があることが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2013年12月16日号に掲載。

 著者らは、コクランライブラリー、EMBASE、MEDLINE、CINAHL、SPORTDiscus、Health Sourceデータベースをオンライン検索し、1980年1月~2013年6月に公表された査読論文のうち関連のある論文を同定した。適格な研究デザインとして、介入前後のデータを比較した非対照試験はもちろん、ランダム化比較試験も含めた。症例情報は、骨の健康、身体組成、身体能力、心血管代謝リスク、疲労、QOLに対する運動の影響に関する情報だけでなく、参加者の特性、運動介入の特徴についても抽出した。

 主な結果は以下のとおり。

・有酸素運動やレジスタンストレーニング(両方またはどちらか)を含む運動介入に関する10報の研究を検討した。
・運動トレーニングは、筋力、心肺フィットネス、機能的タスクパフォーマンス、除脂肪体重、疲労にメリットを示した。脂肪蓄積について観察された効果には一貫性がなかった。
・骨の健康、心血管代謝リスクマーカー、QOLに対する運動の影響は、現時点では不明である。

 著者らは、「今回の知見を確固たるものとして展開するため、またエビデンスに基づく運動として推奨するためには、現在進行中の方法論的に質の高い研究が必要である」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)