高齢の遅発統合失調症患者に対する漢方薬の効果は?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/23

 

 統合失調症の発症年齢には個人差があるが、遅発性および超遅発性の統合失調症に関する研究は不十分であり、治療のさまざまな問題点は未解決のままである。島根大学の宮岡 剛氏らは、認知機能障害のない超遅発性統合失調症様精神障害の高齢患者に対する抑肝散(TJ-54)単独療法の有効性と安全性を評価した。Phytomedicine : international journal of phytotherapy and phytopharmacology誌2013年5月15日号の報告。

 本試験は、最近の超遅発性統合失調症様精神病のコンセンサス基準およびDSM-IV-TR診断基準の両方を満たす患者(平均年齢73.1±4.8歳)40例を対象としたオープンラベル試験。簡易精神症状評価尺度、臨床全般印象重症度(CGI-SI)、PANSSについて、ベースライン時と抑肝散(2.5~7.5g/日)投与4週間後のスコアの変化量を評価した。加えて、異常不随意運動は、Scale Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度、Barnesアカシジア尺度、異常不随意運動評価尺度(AIMS)にて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・すべての患者において、精神症状の有意に高い改善が認められた(p<0.001)。
・抑肝散の忍容性は良好であり、臨床的に有意な有害事象は認められなかった。
・すべての異常な不随意運動に関するスコアは、抑肝散の投与前後で有意な差は認められなかった。
・超遅発性統合失調症様精神病患者に対する抑肝散による治療は、有用かつ安全であることが示された。

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(ケアネット 鷹野 敦夫)